赤外線点検業務のDXソリューション「CRITIR」が正式リリース – インフラ老朽化と技術者不足の課題を解決へ

テクノロジー

開発の背景と業界の課題

日本各地でインフラの老朽化が深刻化しており、その維持管理を担う技術者の確保は容易ではありません。橋梁、道路、公共施設、商業ビルなど、様々な構造物の状態を正確に把握し、そのデータを写真、点群、図面、報告書として蓄積・共有する仕組みは、自治体や建設企業、コンサルタントにとって喫緊の課題となっています。

近年では、ドローンに搭載した赤外線サーモグラフィを活用することで、足場を設置したり高所作業を行ったりすることなく点検が可能になりつつあります。しかし、撮影後のデータ処理においては、以下のような課題が残されていました。

  • 1件の物件で数百枚に及ぶ撮影データを1枚ずつ手作業で解析する負担

  • 赤外線サーモグラフィのメーカー間で互換性がなく、画像形式の変換に費用や画質劣化、作業時間が発生する問題

  • 解析結果と報告書作成が分断されており、Excelなどへの貼り付け作業に多大な時間を要する状況

  • ドローンメーカー純正のソフトウェアが、外壁診断や点検業務に最適化されていない点

  • 解析作業が熟練者のノウハウに依存し、属人化しやすい傾向

特に「撮影後」の解析と報告書作成の工程は、現場における最大の負担となっており、高度な技術を持つ専門家が、本来削減すべき手作業に多くの時間を費やしている実情がありました。

株式会社ASOLAB.の事業統括マネージャーである奥田哲也氏は、「撮影自体は1日程度で終わる案件でも、解析作業が煩雑で時間がかかることが開発の背景にあった。CRITIRは現場で取得したデータを、診断・報告・管理へとつなげるための基盤として位置づけている」と述べています。

CRITIRの特長

「CRITIR」は、赤外線点検業務に特化した業務統合型ソフトウェアとして、これらの課題を解決するための様々な特長を備えています。

CRITIR(クリティア)

  1. マルチメーカー対応
    DJI、FLIR、HIKMICROなど、計12機種の赤外線カメラに対応しています。これにより、メーカー間の画像形式変換が不要となり、既存のカメラ資産をそのまま活用できます。
  2. 可視画像×赤外線画像の統合表示
    可視画像と赤外線画像を同時に閲覧できるため、より精度の高い診断が可能です。
  3. 立面オルソ機能
    建物の壁面全体を歪みの少ない立面オルソ画像として生成します。点検画像上でマーキングした劣化箇所は立面オルソ上にも反映されるため、同じような窓や壁面が続く建物でも位置関係を見失いにくく、報告を受ける側にとっても位置の把握が容易になります。
  4. 解析業務の一元管理
    劣化抽出、記録、測定、集計の各工程を一体化しています。マーキングした劣化箇所の面積や距離を自動計算できるため、補修計画や積算の前段階でも活用しやすい設計です。
  5. 報告書作成機能の内蔵
    物件情報、撮影条件、機材情報、劣化箇所の画像、位置図などを入力するだけで報告書が出力できます。気象庁のアメダス情報を自動取得し、調査時の気象条件を報告書に反映する機能も搭載されています。
  6. 目視診断支援機能 (AI検知)
    可視画像をベースとしたクラックや欠損の検出機能を搭載しており、赤外線診断にとどまらない通常の点検にも応用できます。
  7. 完全オフライン運用
    ライセンス認証時およびアメダス情報取得時を除き、完全にオフラインで動作します。これにより、セキュリティ要件が厳しい現場でも安心して利用できます。

適用範囲の広がりと中長期戦略

「CRITIR」は、外壁の赤外線診断だけでなく、可視画像を用いた通常の点検にも応用できる設計です。今後は、以下の分野への展開も視野に入れています。

  • 橋梁・トンネルなどのインフラ点検

  • 太陽光パネルの異常発熱(ホットスポット)検出

  • 商業ビル・公共施設などの建物維持管理

  • 経年比較・劣化進行管理

株式会社ASOLAB.は、これまでドローン測量、3Dモデリング、防災分野の技術活用に取り組んできました。「CRITIR」はその延長線上にあるソリューションであり、点検業務の効率化にとどまらず、ドローンで取得した画像、点群データ、AI解析データを将来的にデジタルツインプラットフォームと組み合わせることで、構造物の状態を継続的に管理する仕組みへと発展させていく構想です。これにより、構造物の劣化状態をデータベース化して共有し、デジタルツインによって未来の状態まで可視化することで、計画的な維持管理と投資判断につなげていくことを目指しています。

開発協力体制と販売・展開戦略

「CRITIR」は、株式会社ASOLAB.が自社の点検業務における実務課題をもとに開発した「実務主導型開発」を基本としています。加えて、開発過程においては、赤外線建物診断技能師制度を運営する一般社団法人街と暮らし環境再生機構(TERS)による開発協力のもと、同機構会員である熟練診断技術者からの実務知見を反映し、現場で本当に使える製品としての完成度と信頼性を高めています。

「CRITIR」は、株式会社ASOLAB.の直販に加え、業界パートナーとの連携を通じて広く展開されます。

  • 当社ウェブサイト(https://critir.jp)を通じた直接販売

  • 一般社団法人街と暮らし環境再生機構(TERS)による販売代理(同機構会員および赤外線建物診断技能師資格保有者向け)

  • TERSが開催する赤外線建物診断技能師の養成講習における標準ソフトウェアとしての採用

  • ドローン販売事業者およびドローンスクール運営企業を通じた販売展開

価格体系

「CRITIR」は、用途に応じた2つのサブスクリプションプランと買い切り型が提供されます。

プラン Light(年払い) PRO(年払い) 買い切り
価格(税抜) 240,000円 / 年 460,000円 / 年 1,150,000円(一括)
内容 解析機能 + 簡易報告書(PDF) 全機能 / 追加ライセンス無制限 全機能を永続利用可 / 任意年間更新料 100,000円/年

※ 全て税抜表記です。
※ 別途、オンボーディング(50,000円~130,000円・税抜)をオプションとして用意されています。
※ 2週間の無料トライアルを利用できます(サンプル画像セット同梱)。

代表取締役コメント

株式会社ASOLAB. 代表取締役の原 数幸氏は、「赤外線点検の現場では、高度な技術を持つ専門家が、本来削減されるべき手作業に多くの時間を費やしてきた。『クリティア』は、その構造的な非効率を解消し、技術者が判断や提案、品質向上に集中できる環境の一助となればうれしい」とコメントしています。

製品概要

項目 内容
製品名 CRITIR(クリティア)
カテゴリ 赤外線点検業務支援ソフトウェア
リリース日 2026年5月6日
対応OS Windows 10 / 11 (64bit)
対応カメラ DJI(6機種)/ FLIR(5機種)/ HIKMICRO(1機種)計12機種
ライセンス Named User方式・完全オフライン運用可
開発・販売 株式会社ASOLAB.
販売代理店 一般社団法人街と暮らし環境再生機構(TERS)
製品URL https://critir.jp

株式会社ASOLAB.について

株式会社ASOLAB.(アソラボ)は、長野県松本市を拠点に、ドローン測量、3Dモデリング、AI解析、デジタルツイン技術等を活用した教育・産業支援を展開するスタートアップです。建築物・構造物の点検業務を、現場作業からデータ活用へ広げ、計画的な維持管理と投資判断につなげる仕組みづくりに取り組んでいます。本リリースに記載の価格・仕様はリリース時点のものであり、予告なく変更する場合があります。

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