なぜ日本の住宅は「動かせない資産」なのか
PropTech-Labの所長である清水千弘氏は、この「選べなさ」が生まれる背景を、金融、技術、人口動態、そして資産観の四つの層に分けて分析しています。
問題の本質は、住宅が高価であること自体ではなく、高価な意思決定であるにもかかわらず、住まいを自由に選び直すための制度が十分に整っていない点にあると指摘されています。日本の住宅市場の硬直性は、国民性によるものではなく、過去の合理性が制度として残り続けた結果であると考えられています。中古住宅市場の薄さも、消費者の好みだけでなく、建物価値を測る制度、履歴を記録する仕組み、金融機関が評価する基準が十分に連動してこなかったことに起因するとされています。

日米英の住宅市場流動性の比較
経済学では、資産がどれだけ自由に売買できるかを「流動性」と呼びます。株や債券に比べて住宅の流動性が低いのは一般的ですが、日本の住宅市場は世界的に見てもその流動性が極めて低いという特徴があります。これは、財の本質だけでなく、制度設計の結果であるとされています。
具体的なデータを見ると、その差は明らかです。
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年間中古住宅取引件数: 米国では通常数百件規模の取引がある一方、日本は約20万件前後で推移しており、ストック規模に対する取引比率(回転率)に大きな差があります。
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中古住宅の取引比率(既存住宅流通シェア): 国土交通省の集計によると、日本の既存住宅流通シェアは2013年時点で約14.7%にとどまっています。これに対し、英国や米国では70~90%の水準にあり、日本市場の「新築信仰」がストック流通の薄さに直結していると見られています。
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住宅・土地統計調査(2023年): 日本の住宅総数6,504.7万戸のうち、空き家は900.2万戸、空き家率は13.8%です。この空き家の相当部分が「動かせない資産」として固定化されている状況がうかがえます。
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生涯移動回数: 米国人が生涯に十数回の移動を経験するとされるのに対し、日本人の生涯引越回数は4~5回程度、購入回数も米国が3回以上であるのに対して概ね1回です。
これらの数字は、日本の住宅市場が世代を超えて人々を一つの家に固定化する制度として機能していることを示しています。
冒頭の夫婦が住み替えられないと感じた理由は、先に述べた金融、技術、人口、そして資産観の「四つの壁」に起因するとされています。この先、日本の住宅市場に立ちはだかるこれらの壁の正体と、住まいを「選び直せる資産」に変えるための解決策については、PropTech-Labの公式サイトで詳しく解説されています。
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https://pptc.co.jp/column/20260724_1100/
『PropTech-Lab(プロップテック・ラボ)』について

『PropTech-Lab』は、不動産市場に新たな価値をもたらし、人々が住まいを選ぶ際の新たな基準や簡便さ、価値観を醸成・提供することを目指しています。市場のニーズに応え、価格高騰のスパイラルを抑制し、より多くの人々が質の高い住宅を手に入れられるよう努めています。
『PropTech-Lab』所長である清水 千弘氏は、一橋大学大学院ソーシャルデータサイエンス研究科教授、社会科学高等研究院都市空間不動産解析研究センター・センター長を務めています。1994年に東京工業大学大学院理工学研究科博士課程を中退し、東京大学博士(環境学)を取得。財団法人日本不動産研究所研究員、リクルート住宅総合研究所主任研究員、麗澤大学教授、日本大学教授、東京大学特任教授などを歴任しました。2022年1月より株式会社property technologiesグループに参画し、社外取締役を経て、2024年7月より『PropTech-Lab』所長に就任しています。

株式会社property technologiesについて
株式会社property technologiesは、「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」をミッションに掲げています。年間36,000件超の不動産価格査定実績やグループ累計約15,000戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で実現する「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来に向け、手軽でお客様にとって利便性の高い不動産取引を提供しています。
会社名:株式会社property technologies
代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
URL:https://pptc.co.jp/
本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
設立:2020年11月16日
上場:東京証券取引所グロース市場(5527)


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