市場規模と成長予測
日本の高齢者向け機能性食品市場は、2025年時点で5億5,424万米ドル規模に達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)5.9%で拡大し、2035年には9億8,324万米ドルに達すると予測されています。この成長は、高齢化の進行、予防医療への関心の高まり、機能性成分に対する規制承認の拡大、そして高齢者特有の栄養ニーズに対応した製品開発によって支えられています。
市場成長の背景と主要因
日本は65歳以上の人口が29%を超えており、高齢者人口の厚みが機能性食品需要の基盤となっています。高齢者向け機能性食品は、単にカロリーやたんぱく質を補給するだけでなく、骨、関節、心血管、免疫、認知、消化といった、加齢に伴い重要性が高まる健康領域を個別に支援する商品への需要が強い傾向にあります。
特に重要な成長要因の一つが、機能性成分に対する規制承認の拡大です。例えば、2025年6月にはOptiMSM®が日本の機能性表示食品(FFC)制度のもとで初のメチルスルフォニルメタン(MSM)成分として承認され、関節健康に関する機能表示が可能になりました。これにより、高齢者向けの関節・可動性サポート商品に新たな開発余地が生まれています。
高齢者のニーズと製品開発の動向
高齢者は咀嚼力や消化力が低下する場合があるため、栄養密度が高く、消化しやすく、少量でも必要な栄養素を摂取できる製品が好まれる傾向にあります。製品開発では、「健康寿命」を意識した総合的な栄養設計が進んでおり、単一機能だけでなく、認知、視覚、免疫、代謝など複数の健康課題を1製品で支援する複合機能型製品が増加しています。2024年11月にはDSM-FirmenichとRohto Pharmaceuticalが、高齢者の健康長寿を支援するマルチビタミン「Vision R」を発売しており、これがその一例です。
主要な製品カテゴリー
市場では、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、プレバイオティクス、オメガ3脂肪酸などを含む製品が広く利用されています。
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プロバイオティクス・プレバイオティクス:最大のカテゴリーであり、歴史的に市場売上の約33%を占めています。日本で発酵食品が日常食として定着していることや、腸内環境への認知度が高いことが強みです。
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ビタミン・ミネラル:高齢者では食事量の低下や偏りによって微量栄養素が不足しやすいため、マルチビタミンやカルシウム、ビタミンDなどの補給需要があります。
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たんぱく質・アミノ酸:高齢化に伴う筋力低下や活動量低下への対応として、十分なたんぱく質摂取への関心が高まっています。
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オメガ3・魚油・脂肪酸:心血管健康や認知機能などの領域と親和性があります。
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植物・ハーブ抽出物:自然由来や伝統的健康素材を好む層への訴求が可能ですが、高齢者の服薬との相互作用への配慮が特に重要になります。
多様な剤形と摂取継続性
高齢者向けでは、飲み込みやすさや摂取継続性が重要であるため、錠剤・カプセルだけでなく、ソフトジェル、粉末、グミ、チュアブル、液体・飲料、RTD機能性飲料・バーなど、多様なフォーマットが市場拡大を支えています。特に液体やRTD飲料は、嚥下や咀嚼に不安がある高齢者でも摂取しやすく、病院や介護施設での利用も進んでいます。
用途別の市場動向
用途別では、免疫、エネルギー・代謝、体重管理、スポーツ・パフォーマンス栄養、消化・腸内環境、認知・脳健康、骨・関節、心血管などに分類されます。このうち、免疫健康が予測期間中に市場を主導すると見込まれています。高齢者ほど感染症や体力低下への不安が大きく、日常的な栄養管理を通じて健康状態を維持したいという需要があるためです。
骨・関節健康も重要であり、MSMのFFC承認はこのカテゴリーに直接的な成長機会を与えます。また、認知・脳健康も健康寿命を延ばす観点から関心が高く、心血管健康も高齢者市場で代表的な用途の一つです。
流通チャネルの多様化
流通チャネルでは、病院・クリニック薬局、オンライン薬局、小売薬局、専門店などに分類されます。高齢者向けでは、健康状態や服薬との関連を考慮する必要があるため、医療機関や薬局の信頼性が重要な購買要因となります。オンライン薬局やECも今後の成長余地が大きく、家族や介護者による代理購入や定期配送の利便性が評価されるでしょう。
競争環境と主要企業
市場にはHerbalife Nutrition、Amway、Abbott、Bayerといった主要企業が参入しており、DSM、Glanbia、Nature’s Way Products、Nestléなども存在感を放っています。これらの企業は、年齢特有のニーズに対応した製品展開や、科学的根拠を重視したプロモーション、多様な販売チャネルを通じて市場での競争を展開しています。
市場の展望と主要テーマ
日本の高齢者向け機能性食品市場は、単なるサプリメント市場に留まらず、高齢者の身体機能、認知、免疫、消化、心血管、可動性を横断的に支える「健康寿命延伸型の予防栄養市場」へと発展していくと考えられます。
2035年に向けた主要テーマは、「予防医療」「免疫健康」「腸内環境」「骨・関節」「認知・脳健康」「科学的根拠のある機能性成分」「複合栄養設計」「摂取しやすいRTD・粉末・チュアブル」「パーソナライズ栄養」に集約できるでしょう。
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