小学生の身体活動不足が常態化、夏は「暑さ」が運動を妨げる最大の障壁に
子どもの健やかな成長にとって、十分な身体活動は不可欠です。しかし、近年、子どもの身体活動不足が社会的な課題として認識されています。特に、酷暑が続く現代においては、気温や気候が子どもの身体活動にどのような影響を与えるのかに注目が集まっています。
このような状況を受け、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する笹川スポーツ財団は、日本体育大学体育学部の城所哲宏准教授と共同で、「気候変動時代における子どもの身体活動と遊びに関する調査」を実施しました。この調査は、季節による子どもの身体活動への影響を国内で初めて縦断的に分析したものです。
調査概要
本調査は、全国の小学生(1~6年生)の子どもを持つ保護者を対象に、インターネットを通じて行われました。2025年9月(夏季)、11月(秋季)、2026年2月(冬季)の3回にわたって実施され、同一の小学生を対象に保護者がすべての調査に回答した2,605名の追跡データが分析されました。
調査では、世界保健機関(WHO)が推奨する1日60分の身体活動量(以下、身体活動ガイドライン)の達成状況に焦点が当てられました。
より詳しい調査結果は、以下の公式ウェブサイトで確認できます。
https://www.ssf.or.jp/thinktank/children_youth/climatechange_2025.html
調査結果のポイント

1. 身体活動ガイドライン未達成が常態化
調査の結果、すべての調査時点において、子どもの72~80%が身体活動ガイドラインを達成していないことが明らかになりました。この達成率に季節による大きな影響は見られず、年間を通じて身体活動不足が慢性的に続いている可能性が高いことが示されています。
男子では各調査時点での達成率に大きな変化は見られず、27.7~28.4%で推移しました。女子では、夏季(9月)の達成率が26.8%と最も高く、冬季(2月)では20.0%と最も低い結果となりましたが、いずれの時期も7~8割の子どもが未達成でした。

さらに、3回の調査を通じて一度も身体活動ガイドラインを達成していない子どもは、男子で59.4%、女子で62.6%と、男女ともに約6割を占めることが判明しました。これは、多くの子どもが季節を問わず、慢性的に身体不活動な状態にあることを示唆しています。

2. 身体活動をしない理由:夏季は「暑さ」、それ以外は「特に理由はない」が上位に
身体活動ガイドラインを達成していない子どもたちに、身体を動かさない理由を尋ねたところ、興味深い結果が得られました。
夏季(9月)に実施された第1回調査では、男女ともに「暑いから」が約3割と最も多く挙げられました。これは、夏の暑さが子どもの身体活動を大きく制限する要因となっていることを示しています。
しかし、季節が移り変わるとその理由は変化します。女子では冬季(2月)に「寒いから」が上位に挙がったものの、3回の調査を通じて男女ともに高い割合を示したのは、「特に理由はない」「他にしたいことがあるから」「時間がないから」といった、季節以外の理由でした。


3. 専門家からのコメント
本調査に協力した日本体育大学体育学部の城所哲宏准教授は、調査結果について次のようにコメントしています。
「本研究により、多くの子どもが慢性的に身体不活動な状態にあることが明らかになりました。身体活動量に大きな季節変動は確認されず、年間を通じて低水準で推移していました。また、夏季には『暑いこと』が活動しない主要因として挙げられ、気候変動(特に、夏季における高温多湿環境)への対応が重要であることも示されました。」
さらに、城所准教授は「季節ごとの対症療法的な対策のみに依拠するのではなく、子どもの生活全体やそれを取り巻く環境を俯瞰した、より根本的かつ包括的なアプローチが必要であると考えられる」と、今後の身体活動促進に向けた視点を示しています。
まとめ
今回の調査により、季節を問わず多くの小学生が身体活動不足に陥っており、特に夏の暑さが運動を妨げる大きな要因となっていることが明確になりました。一方で、「特に理由はない」「他にしたいことがある」「時間がない」といった、季節とは異なる理由も常時上位を占めており、子どもの身体活動を促すためには、多角的な視点と包括的なアプローチが求められていると言えるでしょう。
この調査結果は、子どもの健康と成長を支えるために、家庭、学校、地域社会が一体となって取り組むべき課題を示唆しています。
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