日馬共同声明の「AI・半導体連携」を具現化:TAIとマレーシアOppstarが低消費電力AIチップの共同開発へ

テクノロジー

日馬共同声明の具現化

この戦略的パートナーシップは、2026年6月10日に発表された日馬共同声明(第16項)において、両国首脳が歓迎した『グリーン・トランスフォーメーションに貢献する AI 及び半導体関連分野における日・マレーシア協力のための民間主導の戦略的連携枠組み』を具体化する重要な一歩です。TAIとOppstarは、低消費電力なエッジAIシステム向けリコンフィギャラブルAI半導体チップの共同開発を通じて、AI処理の省電力化を推進し、持続可能な産業発展に貢献することを目指します。

AI半導体フォーラムでの発表

フォーラムは、半導体産業の未来と技術革新をテーマに、マレーシア投資貿易産業省(MITI)オフィスで開かれ、マレーシア政府関係者や両国の主要な半導体・IT企業、学生など280名以上が参加しました。

TAIの中原啓貴代表取締役社長 CEO・CTOは、Oppstar社CEOのNg Meng Thai氏と共にステージに登壇し、「日本発・フィジカルAI半導体の最前線 〜現場実装から日馬共創へ〜」と題した講演を行いました。講演では、現実世界の産業課題を解決するフィジカルAI半導体の具体的な実装事例が紹介され、日本とマレーシアの協調がもたらす次世代半導体サプライチェーンの可能性について深く掘り下げられました。

AI半導体に関する講演会の様子

フォーラム内では、両社によるSCF締結セレモニーも執り行われ、駐マレーシア日本国大使の四方敬之氏と、マレーシア投資貿易産業省副大臣のYB Tuan Sim Tze Tzin氏が同席し、両社の連携への期待を述べました。

OppstarとTokyo Artisan Intelligence (TAI)による文書交換式典の様子

政府・公的機関からのコメント要旨

  • 駐マレーシア日本国大使 四方敬之氏
    両国首脳による政策方針の決定を受けてすぐ、本日、マレーシアのIC設計のパイオニアであるOppstar社とTAIとの戦略的提携が発表されたことに立ち会えたことは、まさにタイムリーだと言えます。日本政府を代表し、共同声明第16項の合意事項を、迅速かつ効果的に具現化する民間主導の具体的な第一歩として、この取り組みを心から歓迎いたします。

  • マレーシア投資貿易産業省 副大臣YB Tuan Sim Tze Tzin氏
    今日、マレーシアと日本の同盟関係は、極めて強固な基盤を築いています。私はこの認識に、全面的に同意いたします。これは、両国の歴史的な包括的パートナーシップに続く、新たな一歩です。担当副大臣として、この大変思い入れの深い、そして大きな変革をもたらす連携を、自ら率先して推進していく所存です。

SCF締結の背景と目的

AIの社会実装が加速する中で、演算処理に伴う膨大な電力消費は、日本とマレーシア双方にとって共通の課題となっています。これはAIのさらなる進化を阻む技術的ボトルネックであるだけでなく、環境負荷の観点からも問題視されています。

このような状況の中、日馬両国政府は共同声明において、安全で信頼できるAIエコシステムの構築や「日マレーシア AI プラットフォーム」の設立、さらにはアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の枠組みを通じた脱炭素化の推進など、国を挙げた連携方針を打ち出しています。特に、GXに貢献するAI・半導体分野での民間主導の戦略的連携は、両国首脳からも高く評価されています。

マレーシアは、2024年に始動した「国家半導体戦略(NSS)」のもと、従来の製造・封止拠点から「グローバルなIC設計およびハイエンド製造のハブ」への転換を国策として強力に推進しています。同国を代表する半導体設計企業であるOppstarも、省電力AI半導体チップの設計・開発に意欲を示しており、TAIとは2026年3月に半導体開発に向けたSoW(Statement of Work:作業範囲記述書)を締結するなど、これまで着実に連携を深めてきました。

今回のSCF締結は、TAIのAI技術とOppstarの半導体設計技術を融合させ、省電力AIチップの市場投入を加速させることを目的としています。これにより、日馬両国の政策課題であるGXへの貢献だけでなく、半導体人材やAIエンジニアの育成、技術交流にも寄与し、両国の経済発展に貢献することを目指します。

2社による主な取り組み内容

TAIとOppstarは、以下の主要な取り組みを進めていきます。

  1. 低消費電力AI半導体チップの共同開発
    両社の知見を組み合わせ、従来の汎用的な半導体チップと比較して消費電力を抑えたリコンフィギャラブルAI半導体チップの設計・開発を行います。リコンフィギャラブルAI半導体チップとは、FPGA(Field Programmable Gate Array、現場で書き換え可能なLSI)をベースとし、AI用途に応じて内部の回路構成を自由に変更できる半導体チップです。この取り組みを通じて、両社は2026年7月のテストチップ完成を予定しています。

  2. GXへの貢献
    AI半導体チップの開発を通じて、クラウドへの依存を低減し、エッジ側での効率的なAI処理を実現します。これにより、通信量および消費電力の削減を達成し、持続可能なAI社会の実現に貢献します。

  3. 人材育成および技術交流
    AI半導体チップの共同開発やワークショップの開催を通じて、半導体設計人材、AIエンジニア、システムアーキテクトなどの育成と技術交流を促進します。

2社代表コメント

  • Tokyo Artisan Intelligence(TAI)
    AIの普及に伴う電力問題は、世界共通の課題です。当社のAI技術とOppstar社の設計力を結集し、この課題を解決できる低消費電力AI半導体チップの市場投入を目指します。本提携を通じて、マレーシアの技術発展と持続可能なAI社会の実現に貢献してまいります。

  • Oppstar
    日本発の革新技術を持つTAI社との提携を光栄に思います。すでにSoWを通じた実務も進んでおり、今回のSCFによって開発をさらに加速させていきます。今回のプロジェクトを日本とマレーシアの協力の象徴として、低消費電力AI半導体チップの市場投入を共に成功させます。

会社情報

Oppstar社について
フロントエンドからバックエンドまで包括的な半導体エンジニアリングサービスを提供しています。先端プロセスノードを用いた複雑なSoCおよびASICの設計・開発を専門とし、エンドツーエンドのフルターンキーソリューションを展開。AI、通信、車載、産業オートメーションなど、グローバル市場の高成長産業に向けて高度な技術支援を行っています。

Tokyo Artisan Intelligence(TAI)会社概要

  • 社名:Tokyo Artisan Intelligence株式会社

  • 代表取締役社長 CEO・CTO:中原啓貴

  • 設立:2020年3月3日

  • 所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜2丁目3−12 新横浜スクエアビル14階

  • 事業内容:深層学習アルゴリズムの研究開発、エッジAIプロダクトの開発および販売、AIエキスパート・エンジニアの育成

  • 会社HP:https://tokyo-ai.co.jp/

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