技術導入の背景
近年、AI(人工知能)の普及やSNSの利用拡大に伴い、ユーザーの上り通信のトラフィックは増加傾向にあり、その安定化と高速化が強く求められています。エリクソンが定期発行する「エリクソン・モビリティ・レポート」2025年11月版でも、AI対応デバイスやAIエージェントが将来の上り通信トラフィック増加を促進する要因として指摘されています。
ソフトバンクとエリクソンは、AI時代における上り通信のさらなるトラフィック増加を見据え、2024年からスマートフォンのチップセットベンダーと連携し、「Uplink Tx Switching」の導入に向けた取り組みを進めてきました。チップセットの開発段階から共同で性能検証を実施し、今回ソフトバンクのネットワークへの導入が実現しました。
「Uplink Tx Switching」の詳細と効果
「Uplink Tx Switching」は、3GPP Release 16で定義された技術です。従来、TDD方式(同じ周波数帯の電波を時間で切り替えて上り下り通信を行う方式)で上り通信を行う際は、FDD方式(上り下りで異なる周波数帯の電波を利用する方式)で利用する周波数帯の電波とキャリアアグリゲーションを行うことで高速化を図っていました。
この新しい技術では、TDD方式の上り通信時にFDD方式の通信を一時的に停止し、帯域の広いTDD方式で複数本のアンテナを用いたMIMO通信を行います。これにより、上り通信のさらなる高速化が可能になります。
ソフトバンクの検証によると、「Uplink Tx Switching」の導入により、上り通信のスループットが理論上約1.5倍に向上することが見込まれています。具体的には、n1とn77の二つの周波数帯の電波を同時に利用して上り通信を行う構成において、この理論値が示されています。これにより、動画や画像のアップロード時の体感速度が向上し、AI時代における大容量データの送信がより快適に行えるようになるでしょう。

今後の展望
ソフトバンクは今後、「Uplink Tx Switching」の対応機種および対応エリアの拡大を進めていく方針です。また、エリクソンと協力し、3GPP Release 17で定義されたFDD方式で利用する周波数帯の電波を含めてMIMOへの対応も視野に入れ、さらなる上り通信の性能向上を目指しています。最新技術を活用した5Gサービスの高度化を通じて、通信品質とお客さまの満足度向上に取り組んでいくとしています。
エリクソンについて
エリクソンは、高性能なネットワークを通じて世界中の人々にコネクティビティを提供している企業です。150年以上にわたり通信テクノロジー開発のパイオニアとして、通信事業者や企業にモバイル通信とコネクティビティのソリューションを提供しています。
- エリクソン公式サイト: http://www.ericsson.com/
ソフトバンクの通信ネットワークに関する取り組み
ソフトバンクは、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向け、通信ネットワークの高度化と信頼性向上を三つの領域で推進しています。
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平常時における通信品質向上: 都市部や全国各地で5G/4G基地局を整備し、AIやビッグデータを活用してネットワーク全体を制御することで、利用者の体感品質を継続的に向上させています。
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災害時など通信需要が急増する状況への対応: 移動基地局車や可搬型設備、ドローン基地局、無料Wi-Fiなどを組み合わせ、安定した通信環境を確保しています。
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非地上系ネットワーク(NTN)との融合: ユビキタストランスフォーメーション(UTX)のビジョンの下、衛星通信や成層圏通信プラットフォーム(HAPS)などのNTNと地上のモバイルネットワークの融合により、災害時の早期復旧やサービスエリア拡大など、陸・海・空あらゆる環境で利用可能な通信基盤の構築を進めています。
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ユビキタストランスフォーメーション: https://www.softbank.jp/corp/philosophy/technology/special/utx/
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成層圏通信プラットフォーム(HAPS): https://www.softbank.jp/corp/philosophy/technology/special/ntn-solution/haps/
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