ハイパフォーマンススポーツセンターに「HPSC ESPORTS LAB」が新設され、eスポーツの国際競技力向上を支援

スポーツ

設置の背景と目的

近年、デジタル技術の進化は目覚ましく、国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技団体、国内の競技団体でもeスポーツに関する議論や取り組みが進められています。また、現在策定中の第4期スポーツ基本計画では、eスポーツを含む先端デジタル技術を活用したアスリート支援の推進が示されています。国際的なeスポーツ大会が盛り上がりを見せる中で、アスリートへのスポーツ医・科学支援が効果を発揮している事例も増えています。

HPSCは、これまで国立スポーツ科学センター(JISS)を中心に、オリンピック・パラリンピック競技のアスリートをスポーツ医・科学、情報面からサポートしてきました。このような国内外の動向を踏まえ、eスポーツアスリートの国際競技力向上を支援し、ハイパフォーマンススポーツ分野における支援と研究を加速させる拠点として「HPSC ESPORTS LAB」が開設されました。

HPSC ESPORTS LAB JAPANの発表風景

施設の概要

HPSC ESPORTS LABは、HPSC 味の素ナショナルトレーニングセンター 屋内トレーニングセンター・イースト内に設けられ、以下の3つのゾーンで構成されています。

  • eスポーツゾーン:従来のeスポーツ競技に特化した研究と支援を行います。

  • バーチャルスポーツゾーン:現実の身体運動をセンサーなどを通じてデジタル空間に反映させて競い合う「バーチャルスポーツ」の研究と支援を推進します。

  • ウェルビーイングゾーン:アスリートの身体的・精神的・社会的幸福感(ウェルビーイング)に関する研究と支援を実施します。

HPSC ESPORTS LAB JAPANの施設内部

施設内には、視線計測装置、心拍計、脳波計、サーモグラフィなどの機器が導入されており、エビデンスに基づいたスポーツ医・科学、情報に関する研究と支援が進められます。また、大学や研究機関の研究者などと広く連携し、eスポーツを含むスポーツ医・科学、情報面の研究と支援の中核を担う「ハイパフォーマンススポーツハブ」としての役割も果たします。ここで得られた知見は、国際競技力向上だけでなく、広く社会やライフパフォーマンス分野への還元も目指されています。

eスポーツゾーンのゲーミングPC

バーチャルスポーツゾーンのフィットネス機器とシミュレーター

ウェルビーイングゾーンのリラックス空間

ハイパフォーマンススポーツセンター長 久木留 毅氏のコメント

ハイパフォーマンススポーツセンター長の久木留 毅氏は、HPSC ESPORTS LABの設置について、「eスポーツという新たな競技領域に対し、HPSCが培ってきたスポーツ医・科学、情報の知見を展開する新たな挑戦です。ここを起点として、大学や研究機関等との連携を一層深めながら、eスポーツアスリートの国際競技力向上を支えるためのエビデンスに基づく研究と支援を発展させてまいります。さらに、ここで得られた成果をリアルスポーツやライフパフォーマンス分野へと広く展開し、『ハイパフォーマンスからハイパフォーマンス』『ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ』の実現に向けた取り組みを進めてまいります」と述べています。

強化合宿の実施状況

HPSC ESPORTS LABでは、すでに第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)などを見据えた日本代表選手らによる強化合宿が始まっています。これまでの合宿では、スポーツ医学、スポーツ栄養、メンタルヘルス、睡眠、eスポーツ科学に関する理解促進を目的としたプログラムが実施されました。また、機器を用いた生体データの収集などを通じて、eスポーツの競技パフォーマンス最適化に向けたコンディショニングサポートの実証研究が主に行われています。

強化合宿の講義風景

強化合宿のグループ学習風景

強化合宿の体組成測定風景

強化合宿の脳波測定風景

今後の展望

今後は、非接触バイタルセンシング技術や没入型デジタル技術(AR・VR・MR等)を活用した研究や支援を推進していく予定です。これにより、eスポーツだけでなく、リアルスポーツの強化現場におけるデジタル機器の効果的な活用やアスリート・ウェルビーイング支援など、幅広い競技パフォーマンスの向上を目指します。

また、eスポーツ特有の課題に対応するため、HPSC/JISSが持つスポーツ医・科学、情報面の研究と支援の知見を活かし、コンディショニングに関するガイドブックの制作も進められています。このガイドブックは、eスポーツアスリートとその関係者に向けて、スポーツ医学、スポーツ栄養、メンタルヘルス、睡眠、脳科学などの観点から、アスリートの心身のコンディショニングについて広く、わかりやすく発信されることでしょう。

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