コンテンツ市場、一人当たり年間支出額8.1万円の高水準を維持
株式会社博報堂DYホールディングス、株式会社博報堂、株式会社博報堂テクノロジーズの共同研究プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」は、「コンテンツファン消費行動調査2026」の結果を発表しました。この調査は、アニメや音楽など全11カテゴリにおける「リーチ力・支出喚起力ランキング」を算出しており、エンターテイメント市場の最新動向を明らかにしています。
調査結果によると、生活者のコンテンツへの年間平均支出金額は81,022円となり、調査開始以来最高を記録した前年からは微減したものの、過去2番目に高い水準を維持しています。これは、熱心なファン一人ひとりの支出額が市場を支える構造が定着していることを示唆しています。

一方で、コンテンツに支出する人数の「支出層」は、多くのジャンルで横ばいから微減のトレンドが続いています。レコメンド機能による興味分野の限定や、無料で楽しめるコンテンツの増加が、支出層の伸び悩みの要因として考えられます。

「映画」ジャンルが好調、「デジタルで広げ、リアルで稼ぐ」ビジネスモデルが鮮明に
ジャンル別の推定市場規模では、「音楽」が7,036億円で最も高い結果となりました。前年比では「映画(+1.9%)」「マンガ・ライトノベル(+3.6%)」「バラエティ番組・ドラマ(+4.7%)」「美術展・博覧会(+25.8%)」の4ジャンルが伸長しています。
特に「映画」ジャンルは、『国宝』や『鬼滅の刃』シリーズなどのヒットに連動し、劇場鑑賞をはじめとするリアルイベント市場への支出が大きく増加しました。これは2021年のコロナ禍以降、最高額を更新するものです。

支出カテゴリごとに見ると、スマートフォンやPCを通じたデジタルコンテンツ市場での支出額も順調に伸びています。2019年から現在にかけて、「音楽」「映画」「マンガ・ライトノベル」「アニメ・特撮」などのジャンルで堅調な伸びが見られました。

これらのデータから、「デジタル(配信やSNS)で日常的にコンテンツに触れ、プレミアムな体験としてリアルイベント(劇場、ライブ、展覧会など)やグッズにお金を払う」という、デジタルとリアルを掛け合わせたハイブリッドな収益構造が確立されつつあることがうかがえます。
「リーチ力・支出喚起力」ランキング:接触機会の拡大と支出機会の創出が鍵
2026年の「リーチ力・支出喚起力」ランキングでは、注目すべき傾向が明らかになりました。
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リーチ力:そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標。
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支出喚起力:コアファンによる、年間の関連市場規模の指標。

「リーチ力」では、『鬼滅の刃』が1,048万人(前年比+37万人)で6年連続の1位を獲得しました。アニメシリーズ劇場版の公開が利用層と支出層を大きく増やし、推定市場規模は277億円に達しています。また、長年人気のIPである『ポケットモンスター』や『名探偵コナン』が上位を維持する中、実写映画が話題となった『国宝』(506万人)が18位に初ランクインしました。
一方、「支出喚起力」の上位コンテンツでは、複数媒体への露出拡大によって接点(リーチ)を広げつつ、周年などの節目を捉えて「リアル体験」の機会を提供することで、支出を大きく伸ばす傾向が見られました。
具体的には、1位の『Snow Man』(460億円)と6位の『Mrs. GREEN APPLE』(255億円)が、バラエティ、ドラマ、映画、SNS、タイアップなど多角的なメディア露出により利用層を大幅に拡大しました。『Snow Man』はリーチ力で前年20位圏外から9位に、『Mrs. GREEN APPLE』はリーチ力2位へと躍進し、それぞれ音楽アーティストとして初の両ランキングトップ10入りを果たしました。
両アーティストは、デビュー5周年・10周年の節目に大型ツアーなどのリアルイベントを実施し、一人当たりの平均支出金額も大きく上昇させ、リーチ力と支出喚起力の両面で急成長を遂げています。
また、活動終了に向けた取り組みが本格化した『嵐』は、利用層の増加とファンの熱量の高まりにより、一人当たりの平均支出金額が顕著に上昇し、推定市場規模340億円で前年の20位圏外から2位へ急浮上しました。
これらの動向から、周年などの節目を捉えた多角的な露出による「入口の拡大」と、リアル体験を中心に購買行動を促す「支出機会の創出」を機能的に連動させることの重要性が浮き彫りになっています。新規顧客獲得と、新規・既存顧客双方に満足してもらう体験提供の「両輪」が、コンテンツの市場規模拡大の主要な要素となっていると考えられます。
調査概要と追加分析サービス
今回の調査は、全国15~69歳の男女10,000サンプルを対象にインターネットで実施されました(調査期間:2026年2月26日~3月9日)。コンテンツファンの行動を「興味」「利用」「支出」「ファン」の4行動に分類し、誰が、何に、いくら支出しているかを分析したリアルなデータが特徴です。
コンテンツビジネスラボでは、追加分析サービスとして、コンテンツファンの詳細な性年代属性、ライフステージ、人数のボリューム、支出金額などの情報を提供しています。直近一年間に購入した耐久財やサービス、保有デバイス、利用しているネットサービス、よく利用するメディアなど、ファンのコンテンツ利用以外の行動を組み合わせた分析も可能です。

また、調査データやAIを用いてより効果的に分析するためのダッシュボード制作やカスタマイズ対応も行っており、「リーチ力・支出喚起力ランキング」と合わせて活用することで、コンテンツのポテンシャルと具体的な活用方法が明らかになります。
コンテンツビジネスラボは、本サービスを通じて「コンテンツ」「ファン」「企業活動」の3者を効果的に結び付け、コンテンツビジネスの活性化を支援しています。
より詳しい追加分析や、AI/テクノロジーを活用したマーケティング/ビジネス支援に関するお問い合わせは、コンテンツビジネスラボ担当窓口(cbl-contact@hakuhodo.co.jp)までご連絡ください。
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