AI時代に求められる「考える力」とスポーツ経験の関係性とは?Sports Force Labが研究レポートを公開

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AI時代に求められる「考える力」とスポーツ経験の関係性とは?Sports Force Labが研究レポートを公開

株式会社アーシャルデザインが運営する「Sports Force Lab」は、東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズとの共同研究レポートの第3回を公開しました。この研究は、「スポーツを通じて人間の進化を実装する」というPurposeのもと、スポーツが人材育成やキャリア形成に与える影響を科学的に解明し、社会実装することを目指しています。

アメリカンフットボールの選手たちが旗を掲げてフィールドを歩く様子

本レポートは、河合塾グループ株式会社KEIアドバンスのPROGによるアセスメント協力を得て作成されています。

AI時代に求められる「考える力」とは

かつては多くの知識を正確に記憶し、速く正解にたどり着くことが評価される時代がありました。しかし、AIの進化により、情報検索や整理が瞬時に行える現代では、知っていること自体の価値は相対的に変化しています。このような時代において、人間に求められる力とは何か、という問いが浮上しています。

学年別のスコアデータからは、興味深い傾向が示されています。

項目 1年生 3年生 1→3年の伸び
コンピテンシー総合 3.63 4.00 +0.37
対自己基礎力 4.17 4.44 +0.27
行動持続力 3.91 4.15 +0.24
実践力 3.60 4.22 +0.62
自信創出力 3.77 4.48 +0.71

特に「実践力」と「自信創出力」において、1年生から3年生にかけてのスコアの伸びが比較的大きいことが注目されます。ただし、このデータは単時点での学年比較であり、同じ学生の経年変化を追ったものではないため、活動経験そのものが直接変化をもたらしたと断定することはできません。しかし、少なくとも今回の対象学生においては、上級生でこれらの能力のスコアが相対的に高い傾向が見られました。

スポーツは「考える競技」へ進化している

スポーツに対して体力や根性のイメージを持つ人も少なくありませんが、学生へのインタビューからは、現代のスポーツが想像以上に「考える競技」になっている実態が明らかになりました。

特にアメリカンフットボールのような戦略性の高い競技では、毎プレーごとに状況が変化し、その都度、最適な判断が求められます。正解が一つではない状況で、仮説を立て、試し、修正するというプロセスが日常的に繰り返されています。多くの学生が失敗経験について語る際も、単なる失敗で終わらせず、「なぜ失敗したのか」「何が足りなかったのか」「次はどう改善するか」といった振り返りが自然に行われていることが印象的でした。

答えを待つ姿勢から、問いを立てる姿勢への変化

教室でノートパソコンと本を使って勉強する若い男性

インタビューでは、「自分たちで考える」という言葉が繰り返し聞かれました。指導者からのアドバイスや戦術共有はありますが、それをただ受け取るだけではチームは機能しません。「なぜこの戦術なのか」「相手は何を狙っているのか」「自分たちはどう変えるべきか」といった問いを、学生自身が立て続ける必要性を感じているのです。

与えられたメニューをこなす感覚から、自分たちで改善するという感覚への変化が見られます。これは、単なる競技理解に留まらず、AIが発達した現代において示唆的な変化と言えるでしょう。AIは答えを出すことは得意ですが、何を問うべきかを決めるのは依然として人間の役割だからです。

競技力と「考える力」の意外な関係

さらに興味深いデータとして、競技力自己評価別のスコアがあります。競技力が高い人ほど非認知能力も高い、という単純な関係が必ずしも成立しない可能性が示されています。

競技力自己評価 統率力 感情制御力 課題発見力 実践力
上位25% 4.47 4.40 4.33 4.20
上位26〜50% 3.90 4.65 3.75 3.35
上位51〜75% 4.29 4.65 4.18 3.65
上位76〜100% 3.38 3.00 3.50 4.00

※競技力自己評価は「今所属している部活動の中でスポーツの競技力はどれくらいだと自己評価していますか。」という問いへの回答に基づく。本表のPROG数値は東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズ内での平均値をまとめたもの。

競技力が相対的に高い層だけでなく、別の層にも「実践力」などで特徴的なスコアが見られる点は注目に値します。この結果は、スポーツの価値を競技力以外の観点からも捉える必要性を示唆しており、その背景にある要因については今後の検討が求められます。

うまくいかないからこそ考える、問うというプロセスが、人の思考のあり方と深く関係している可能性もあるでしょう。

スポーツの価値は「思考」にあるのか

AIが急速に進化する現代において、スポーツの価値は身体能力の向上だけでなく、「問いを立てる力」や「考え続ける姿勢」を育む側面から捉え直せるかもしれません。今回の研究では、その可能性の輪郭が少しずつ見え始めています。

Sports Force Labでは今後も、スポーツが人間形成に与える影響について、定量・定性の両面から研究を継続していくとのことです。

共同研究機関について

東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズ

東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズのロゴ

1957年創部。部員180名(選手130名、スタッフ50名)が在籍する、東京大学内最大規模の学生団体です。関東学生アメリカンフットボール連盟1部リーグTOP8に所属し、「未来を切り拓くフットボール」という理念、「挑戦 正義 謙虚」という行動規範を掲げ、学生日本一を目指して活動しています。近年は好成績を収め、関東の強豪校と対峙しています。

株式会社KEIアドバンス

KEIアドバンスのロゴ

河合塾グループの一員として、大学入試に関する支援から始まり、現在は大学広報、学生募集、入試運営支援、教学支援、入学前教育、学修・キャリア支援、調査・研究開発、コンサルティングなど、高等教育機関の課題解決を多角的に支援しています。

Sports Force Lab 所長 久野晋一郎氏のコメント

青いスーツを着て笑顔の男性

Sports Force Lab 所長の久野晋一郎氏は、「AIが急速に進化する時代において、スポーツ経験は人の『考える力』にどのような影響を与えるのか、この問いも私たちが明らかにしていきたいテーマの一つです」と述べています。

今回の研究では、スポーツが単に体力や技術を磨く場ではなく、自ら問いを立て、仮説を持ち、試行錯誤を繰り返す場でもある可能性が見えてきたとのことです。正解がわからない状況で考え、行動し、失敗から学び、次の一手を考える経験が、「実践力」や「自信創出力」をはじめとする非認知能力と深く関わっている可能性が示唆されています。

Sports Force Labは、これまで感覚的に語られてきたスポーツの価値を、科学の言葉で社会に翻訳していく挑戦であり、本研究を通じて、AI時代だからこそ求められる人間の力と、スポーツが持つ人材育成の可能性をさらに明らかにしていく方針です。

株式会社アーシャルデザインについて

Sports, Change The world.というスローガンと抽象的なデザイン

株式会社アーシャルデザインは、「& Sports. More Human.(スポーツを通じて人間の進化を実装する)」をPurposeに掲げ、スポーツの力によって人材・社会・産業の変革を実現することをミッションとしています。

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