京都フュージョニアリング、滋賀県高島市にジャイロトロンシステムの新拠点を開設しフュージョンエネルギー開発を加速

テクノロジー

新拠点開設の背景と狙い

京都フュージョニアリングは、ジャイロトロンシステムの技術開発、システム販売、および導入に伴うエンジニアリングを事業の両輪として推進しています。同社のジャイロトロンシステムは、量子科学技術研究開発機構(QST)をはじめとする国の研究機関で培われた技術を基盤とし、キヤノン電子管デバイス株式会社などの大手技術・製造企業との協力のもとで製造されています。現在、アメリカ、イギリス、ドイツ、チェコといった国々の公的プロジェクトや民間企業に採用され、その高い性能と柔軟性が評価されています。

近年、世界的にフュージョンエネルギー開発が加速しており、ジャイロトロンシステムの受注機会が拡大しています。これに伴い、京都フュージョニアリングはエンジニアリングおよび技術開発に必要な設備と供給体制の増強が重要な局面を迎えています。また、これまで国内の複数拠点で進められてきた開発を効率化するため、今回の拠点集約が決定されました。

ニチコンとの連携による開発強化

新たな研究開発拠点「KF滋賀イノベーションファクトリー」は、ニチコン株式会社の協力により、ニチコン草津株式会社 安曇川工場内に開設されます。ニチコンは、およそ70年にわたり学術研究分野や医療分野、産業分野で利用される加速器電源や高電圧電源などを設計・生産し、フュージョンエネルギー開発にも長年貢献してきました。

この連携により、ジャイロトロンシステムの開発に不可欠な大電力・高電圧の電源設備を整えることが可能となります。これにより、顧客向け製品の開発に加え、より高性能な製品の研究開発活動が加速されるでしょう。さらに、ジャイロトロンシステムの統合試験設備を整備・運営するプロセスを通じて、電源、冷却水、制御システムを含むジャイロトロン統合システムに関する知見を深めることが期待されます。

新拠点は、オフィスと研究開発エリアを併設することで、ビジネスと研究開発の効率化と加速化を図ります。また、国内に新たな開発拠点を設けることで、サプライチェーンの構築や地域経済の発展にも貢献していく考えです。

関連情報として、ニチコン株式会社からの発表もご確認ください。
ニチコン株式会社 ニュースリリース

研究開発拠点概要

  • 名称: KF滋賀イノベーションファクトリー(英語表記:KF Shiga Innovation Factory)

  • 所在地: 滋賀県高島市安曇川町三尾里690-2

  • 総床面積: 1,770㎡

  • 稼働時期: 2026年秋ごろより順次

ジャイロトロンシステムについて

ジャイロトロンシステムは、磁場閉じ込め方式の核融合炉において、核融合反応に必要なプラズマ状態を作り出すための加熱システムです。この技術は、量子科学技術研究開発機構(QST)をはじめとする国の研究機関や学術機関で長年にわたり研究開発が進められてきました。2021年には、国際的な研究開発プロジェクト「ITER」向けに、QSTが担当する8機のジャイロトロンが完成しています。

京都フュージョニアリングは、この技術を基盤とし、キヤノン電子管デバイス株式会社などのものづくり企業の協力を得て、高周波数化や出力の長時間化など、日本発のジャイロトロンが世界中で利用されるよう研究開発を進めています。また、製品管理や品質保証といった、ジャイロトロンの社会実装に必要なプロセスを民間企業の立場から推進しています。

ジャイロトロンシステムに関する詳細な情報は、以下のブログ記事でも解説されています。
ジャイロトロンシステム解説ブログ

ニチコン株式会社 概要

ニチコン株式会社は、1950年8月1日に設立された、京都市中京区に本社を置く企業です。アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサ、各種電源システムなどを手掛け、幅広い産業分野に貢献しています。2025年3月31日時点の資本金は14,286百万円、従業員数は連結で5,242名です。フュージョンエネルギー分野においても、国立研究開発法人 量子科学研究開発機構 那珂フュージョン科学技術研究所のJT-60SAや、自然科学研究機構 核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)へ電源を納入するなど、日本のフュージョンエネルギー開発に深く関わっています。

京都フュージョニアリングへの出資も行われており、フュージョンエネルギーの可能性への期待が示されています。
京都フュージョニアリングへの出資に関するニュース

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