世界自然遺産・奄美大島に新建築モデル「ARC」が誕生、SANUとSUEP.が伝統と環境シミュレーションを融合

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世界遺産の島における建築の意義

2021年の世界自然遺産登録以降、奄美大島では観光開発が進んでいます。国土のわずか0.2%に日本の生物種の約13%が生息すると言われるこの島で、建物を建てることは、自然とどのように関わるかという姿勢を示すものとされています。SANUは、この地において自然環境への影響を最小限に抑えつつ、人が滞在する新しい方法を模索しました。

エメラルドグリーンの海と豊かな緑の島々が広がる海岸線の空撮

奄美の気候と生態系から導かれた「ARC」

「ARC(弧)」という形は、単なるデザインではなく、奄美大島の気候と繊細な生態系から論理的に導き出された建築の答えです。

伝統的な「高倉」の知恵を現代に

設計の出発点となったのは、奄美大島の伝統的な高床倉庫「高倉」です。湿気、ハブ、そして激しい風といった地域の課題に対し、数百年にわたり培われてきた「床を持ち上げ、風を通す」という構造の知恵が、現代建築で再解釈されました。地面に接する面積を最小限に抑え、建物を浮かせることで、奄美大島特有の湿気を逃がし、常に新鮮な風が建物の下を通り抜ける設計です。

豊かな緑に囲まれた茅葺き屋根の東屋

自然環境が導いた最適な屋根の形状

亜熱帯海洋性気候に属し、台風の通り道でもある奄美大島では、屋根の形状が建物の強度に直結します。SUEP.による環境シミュレーションを用いて60ケースの検証が行われ、流線型の屋根が導き出されました。この形状は、風圧を逃がしながら室内のエネルギー効率を最大化する効果があります。海に向かって緩やかな弧を描くそのフォルムは、島に馴染む船やサーフボードの曲線とも共鳴し、風景の中に穏やかに佇みます。

ARCの空間特徴

「ARC」は、奄美大島の自然と一体となる滞在を可能にする、いくつかの特徴的な空間設計が施されています。

青空の下、熱帯植物に囲まれた高床式のモダンな円形木造建築群

  1. 大地を傷つけない、高床4mの構造
    地面をコンクリートで覆わず、床高を地上4mに設定することで、湿気やハブを避けつつ、土地の空気と水の流れを遮らないようにしています。ピロティの下から内部へ入るアプローチは、童心に帰るような「木登り」のワクワク感を演出します。

  2. 風が通り抜ける、アウトドアリビング
    建物下部のピロティは、海風が通り抜ける「アウトドアリビング」として機能します。エアコンに頼り過ぎることなく、建築の形によって自然の気流を活かす、亜熱帯の気候に応答する設計です。

  3. 床に座る、島の暮らしの再解釈
    室内には「ローワーリビング(座卓)」が配置されています。床に座って大きなテーブルを囲むという奄美大島らしい食卓の文化を取り入れ、目線を下げることで、窓の外に広がる海や森との一体感を深めることができます。

海と緑の絶景が広がる窓辺のリビングルーム

ARCのしつらえ:島の素材と文化を内外に編む

SUEP.を中心に多くのクリエイターと協業し、奄美の自然の力強さが空間の細部にまで表現されています。

木製の床と天井が特徴の明るく開放的なダイニング兼キッチンスペース

  • 素材: 床には南洋材の硬質フローリング、壁には弾力性と質感を持つ漆喰が採用されています。外壁やルーバーには宮崎県産杉材が用いられ、素材そのものの質感を活かした空間が作り出されています。

  • 照明: 鹿児島の伝統工芸である蒲生和紙を用いたオリジナルデザインの照明が設置されています。構造をあえて見せるシンプルな骨組みで、奄美の自然の力強さに負けないおおらかさが感じられます。

  • クッションカバー: 奄美固有の染色文化である泥染めに着想を得て、中古の大島紬をアップサイクルしています。「裂き織り」の技法で裂き編み直されたカバーが制作されました。

  • ランドスケープ: 奄美大島の在来植物を中心に、特有の生命力が感じられる植栽計画です。一部には可食性植物(エディブルガーデン)も取り入れられ、奄美の豊かな植生が暮らしの中へと引き込まれています。

青い海と緑豊かな丘の斜面に並ぶモダンなヴィラ群の空撮

離島におけるエネルギーとモビリティの循環

「ARC」は、これまでの環境共生型建築から一歩進み、拠点内でエネルギー消費を完結させる仕組みを初めて導入しました。

曲線的な屋根を持つモダンな建物群が、豊かな緑に囲まれ青い海に面して建ち並ぶリゾート地の空撮

  • 太陽光による自給自足: 屋根一体型の薄型ソーラーパネルと蓄電池を搭載することで、エネルギーコストの高い離島において電力の自立(ZEB認証取得予定)を実現しています。

  • 移動の脱炭素: 拠点内にはEV充電器が完備されており、奄美初稼働となるLEXUS BEVレンタカーと連携することで、滞在から移動までをゼロ・エミッションで繋ぐことが可能です。

  • 端材の再利用(九州大学連携): 建設時に発生する木材の端材を再利用した屋外シャワーブースが構築されています。「建てることで出るロス」を建築資源に変える循環が試みられています。

建築家SUEP.の末光弘和氏からは、「ARCは、奄美の風・光・そして伝統的な高床文化に応答する建築です。SANUと共に、地球環境と身体的快楽が分かちがたく結びついた、新しい建築のスタンダードを奄美に置くことができたと感じています。」とのコメントが寄せられています。

車内から広がる美しい海の景色

建築概要

  • 建築名称: ARC(アーク)

  • 拠点: SANU 2nd Home 奄美大島1st

  • 住所: 〒894-0411 鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木松崎620番1

  • 設計: SUEP.(末光弘和+末光陽子)

  • 棟数: 9棟(Small(2名)・Medium(5名)・Large(6名))

  • エネルギー: 太陽光発電+蓄電池(ZEB認証取得予定)

  • 構造: 高床式鉄骨+木造建築(鋼管杭基礎)

  • 開業日: 2026年 5月1日(金)

SANU 2nd Homeについて

「Live with nature. / 自然と共に生きる。」をコンセプトに、都市と自然を行き来する新しいライフスタイルを提案するシェア別荘サービスです。個々のライフスタイルに合わせて、日本の美しい自然の中に独自に建築した「自然の中のもう一つの家」を提供しています。現在36拠点・240室を運営しており(2026年4月時点)、2029年には国内外100拠点以上への拡大を目指しています。

多様な利用プランが用意されています。

株式会社SANU

「Live with nature. / 自然と共に生きる」を掲げ、人と自然が共生する社会の実現を目指すライフスタイルブランドです。所在地は〒153-0061 東京都目黒区中目黒3-23-16です。

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