世界最先端のフュージョンエネルギー実用化計画を支える連携体制
NIFSは、世界有数の大型プラズマ実験装置「大型ヘリカル装置(LHD)」を保有し、ヘリカル型(ステラレータ)核融合研究を牽引する公的研究機関です。LHDでは、3,268秒間(約54分間)にわたるプラズマの維持や、1億度を超えるプラズマ温度の達成、プラズマの安定制御に関する知見など、世界トップレベルの研究成果が蓄積されてきました。
Helical Fusionは、2021年にNIFSの研究成果を活用する形でスピンアウトし、設立されました。2024年からはNIFSと共同研究体制を構築し、フュージョンエネルギー実用化にとって不可欠なコア技術である高温超伝導(HTS)マグネットやブランケット兼ダイバータシステムなどに関する研究を進めています。
これらの共同研究の結果、NIFSが保有する「大型超伝導導体試験装置」や「大口径高磁場導体試験装置」を活用した高温超伝導マグネットの実証に成功するなど、「ヘリックス計画」を大きく前進させる成果を生み出しています。

2025年9月には、Helical FusionがNIFSを含む五つの日本を代表する研究機関を擁する大学共同利用機関法人 自然科学研究機構(NINS)により、「自然科学研究機構発ベンチャー」として認定を受け、より包括的な支援のもとで事業を推進しています。
さらに、2026年3月には、Helical Fusionの最終実証装置「Helix HARUKA」による第1段階の実証を、NIFS敷地内のHF共同研究グループ専用スペースで実施することが発表されました。
世界トップレベルの研究機関との継続的な産学連携体制は、Helical Fusionにとって大きな強みであり、日本から世界に先駆けてフュージョンエネルギーの実用化を達成するための重要な鍵であると言えます。

代表者からのコメント
株式会社Helical Fusion 代表取締役CEO 田口 昂哉氏は、「Helical Fusionを創業した2021年から、フュージョンエネルギー実現を目指す環境は大きく変化しました。いまや世界的に国家レベルでの開発競争ともいえる様相のなかで、ヘリカル型核融合炉のように、独自性のある研究成果の蓄積があることが一つの鍵となることを確信しています。」と述べています。また、「1950年代に遡る礎を受け継ぎ真摯に研究開発を続けてこられたNIFSの皆様と、社会実装に向けて新たに立ち上がったHelical Fusionがともに築いてきた連携体制は、大きな財産です。今回さらに連携を深められることを心強く感じております。」と、NIFSとの連携に対する強い期待を示しています。

フュージョンエネルギーへの需要拡大と産学官連携の加速
世界の人口増加や生成AIの普及に伴う電力需要の急増に対し、既存の発電方法だけでは対応が困難であると予測されています。フュージョンエネルギーは、太陽と同じ原理を利用したCO2排出のない高効率な発電方法であり、海水などから豊富に採取可能な水素の仲間を燃料とすることから、世界的なエネルギー課題を根本的に解決する技術として期待されています。
核融合プラント建設および電力市場は、2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算もあり、日本が世界をリードする巨大産業を創出する可能性を秘めている一方で、国際的な開発競争も激化しています。
日本政府は、フュージョンエネルギー開発を成長戦略の核心と位置付け、2025年6月には内閣府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定が行われ、2030年代の発電実証を目指すロードマップが提示されました。さらに、フュージョンエネルギーは「重点投資対象17分野」の一つに挙げられ、政府として1,000億円超の予算(うち600億円が民間プロジェクト向け)が計上されるなど、推進体制が具体化されています。経済産業省には「フュージョンエネルギー室」も設置されています。
このような政策的支援の一環として、NIFSをはじめとする公的研究機関によるスタートアップへの支援も強化されています。NIFSでは、「フュージョンエネルギー産学連携研究室(IAC研)」を設置し、産業界との共同研究環境を積極的に整備しています。
Helical Fusionの「ヘリックス計画」
Helical Fusionは、日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」によるフュージョンエネルギーの実用化を目指す企業です。このヘリカル方式は、国立大学や公的研究機関における約70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に求められる要件を満たしやすい方式であることが評価されています。
同社は、その知見を活かし、世界に先駆けたフュージョンエネルギーの実用化に向けた「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。ヘリックス計画では、2020年代中をめどに二大開発要素である「高温超伝導マグネット」と「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了させ、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、そして発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。
ヘリックス計画(Helix Program)の詳細については、以下のリンクをご覧ください。
https://www.helicalfusion.com/helixprogram


今後の展望
Helical FusionとNIFSの連携強化は、日本がフュージョンエネルギー実用化において世界をリードするための重要な一歩となります。専用スペースの拡張により、最終実証装置「Helix HARUKA」の開発が加速し、2030年代の実用発電という目標達成に向けて、さらなる進展が期待されます。クリーンで持続可能な次世代エネルギーの実現に向けた両者の取り組みに、今後も注目が集まるでしょう。


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