AIとレビューが変えるコスメ購買行動:Z世代から大人世代まで、新しい商品選びの鍵とは

ファッション・美容

AIとレビューが変えるコスメ購買行動:Z世代から大人世代まで、新しい商品選びの鍵とは

2026年8月7日、株式会社電通マクロミルインサイトと株式会社アイスタイルは共催でウェビナー「AI・レビュー時代、ブランド・コスメ商品はどう選ばれるのか ―Z・ミレニアル・大人世代別 生活者のデータから読み解く最新購買行動―」を開催し、その調査レポートを公開しました。ChatGPTやGeminiなどの対話型AIや生成AIの普及により、生活者の情報収集環境が大きく変化する中、美容・化粧品分野での購買行動がどのように変化しているのか、その実態と影響を多角的に分析しています。

AI・レビュー時代、ブランド・コスメ商品はどう選ばれるのか

この調査は、全国の15歳から59歳までの男女1,300名を対象とした「AI利用実態および美容購買行動調査」に加え、@cosmeメンバーへの最新調査、および@cosmeに蓄積されたクチコミデータベースのテキスト分析を組み合わせて実施されました。リアルな生活者の声とデータから、AI時代に化粧品ブランドが選ばれるための新たな接点と、クチコミが持つ本質的な価値が考察されています。

クチコミにおける「AI」ワードの急増と実際の活用状況

@cosmeに投稿されたクチコミを分析した結果、「AI」というワードの出現率は前年同月比で4.3倍に急増しており、「広告」や「インフルエンサー」といった言葉に匹敵するほど、生活者にとって身近な存在になっています。

クチコミの中で使われているワードの出現傾向の変化

しかし、美容関連の商品やサービスの購買プロセスにおけるAIの利用率を見ると、最も高いZ世代においても「知る・興味を持つきっかけ(認知フェーズ)」で15.9%、「比較・検討」で12.6%、「決定・購入」の段階では9.5%にとどまっています。このことから、AIは身近な情報ツールとなりつつも、美容の購買意思決定においては限定的な活用に留まっている実態が明らかになりました。

世代別の購買ファネル

AI時代でも「クチコミ・レビュー」が主役に

「美容関連商品・サービスを選ぶ際、AI/クチコミ/インフルエンサーによる情報がそれぞれ異なっていた場合、どれを最も参考にするか」という質問に対し、「クチコミ・レビューを最も参考にする」と回答した層が40.2%と最多でした。次いで「いずれも同程度に参考にする(32.6%)」となり、「AIの情報を最も参考にする」はわずか8.4%、「インフルエンサーの情報を最も参考にする」は4.8%に留まっています。

AIと口コミとインフルエンサー、参考にするのは?

この結果から、生活者はAIの情報だけを頼りにするのではなく、AIで提示されたおすすめや診断結果に対し、クチコミをはじめとするリアルな体験談(一次情報)やSNSなど複数の情報源を組み合わせ、多角的に情報を確認しながら購買判断を行っていることが伺えます。

若年層の「バズ離れ」とAIによるパーソナライズ化

2026年4月に@cosmeメンバーを対象に行われた調査では、「SNSやYouTube・TikTokで『話題/人気/バズっている』化粧品を購入したいか」という質問に対し、2022年比で10代は-7.2pt、20代は-6.3ptと減少しています。

SNSやYoutube・TikTokで「話題/人気/バズっている」化粧品を購入したいと、思いますか。

生活者がAIチャットに入力するプロンプト(質問文)を分析すると、AIの活用が「自分に合った商品の探索」を後押ししている様子が見られます。若年層を中心に、単に「バズっている話題の商品」を購入するのではなく、自身の肌質や悩みをAIに伝えて「自分に合うこと」を軸に商品を選ぶ傾向が強まっています。AIの普及がこの傾向を加速させていると考えられます。

さらに、AIチャットに入力される内容は年代によって異なり、興味深いインサイトが浮かび上がっています。

  • 10代: 「はじめてメイクします」など、最初の相談相手としてAIを“友達”のように活用。

  • 20代: 肌質や顔タイプ(ブルベ夏、ソフトエレガントなど)の自己分析情報を細かく入力し、自分に合う答えを徹底的に探す。

  • 30代: 「30代の肌」「2000円以内」「グリセリンフリー」など、条件を絞り込み、セカンドオピニオン的にAIに裏付けを求める。

  • 40代・50代: シミ、肝斑、白髪など加齢による悩み解決や、「〇〇ブランドの広告費は?」といった裏側の情報まで探り、人に相談しにくいことを対話しながら納得して選ぶ。

AIチャットにどんなことを入力している?

AIと美容部員の共存、購入後サポートの重要性

@cosmeのクチコミには、AIチャットを「購入前の比較」だけでなく「購入した後のサポート」にも活用した体験談が寄せられています。例えば、「アディクション ザ アイシャドウ パレット」を購入したユーザーが、グラデーションが上手くいかず処分を検討していた際、AIに相談したことで全色使わない塗り方を提案され、評価を★3から★5へ上げたという声があります。また、「タカミスキンピール」の最適なお手入れルーティンをChatGPTに組み立ててもらい、使用を継続している事例も見られます。

AIがリピーターを育てる アディクション ザアイシャドウパレット

リカバリー情報の発信が重要に タカミ タカミスキンピール

これらの事例は、これまで店員や美容部員に相談していた場面にAIが活用されたことを示しています。AIを活用することで「店員・美容部員に相談する」ことが減ると回答した生活者は一定数(Z世代25.6%、ミレニアル世代24.5%)います。しかし、AIが美容部員に完全に置き換わるわけではなく、韓国でのオーダーメイドファンデーション作り(HERA シルキーステイ カスタムマッチ)の体験談のように、AIのおすすめと店員が選ぶ色を比較し、最適な選択を導き出す共存関係が生まれると見られます。

ヒトとAIが協力して生活者にベストな選択を

科学的根拠(エビデンス)が評価される時代へ

AIの普及は、化粧品ブランドの情報発信にも大きな変化をもたらすでしょう。これまで、専門的な論文や難解な科学的根拠、研究開発のバックデータは、法規制や表現の難しさから一般の生活者には届きにくい傾向がありました。しかし、AIは専門家向けの情報であっても、生活者の質問に合わせてそのロジックを分かりやすく伝えます。

@cosmeのクチコミには、「ケアセラ APフェイス&ボディ乳液」を使っていた人が、なんとなく調子が良い理由をAIに聞き、「ロート独自の処方や壊れた肌バリアを再構築する医学に近いアプローチであることに納得してリピートを決めた」という声があります。このように、購入前の情報収集ではなく、使用後に理由を確かめる使われ方も見られます。これまで埋もれていた情報がAIによって生活者の手元まで届きやすくなり、研究や開発を地道に積み重ねてきたブランドの技術力がこれまで以上に評価されるようになると考えられます。

生活者に届きにくい情報をAIが届ける ケアセラ APフェイス&ボディ乳液

AI時代だからこそ、「熱い一次情報」の価値は高まる

今回の調査結果から、生活者はAIだけを頼りにしているわけではないことが示されています。AIに聞いた上で、実際に使った人の声も確認するなど、両方を比較して判断する使い分けが定着しつつあります。

また、商品の購入検討時にクチコミの投稿日を気にする生活者は80%に上ります。誰がいつ書いたものかを確認した上で判断しているということです。AIが答えを返す際も、その土台となるのは生活者が書いた一次情報であり、AIが普及するほど、その情報の鮮度と量が問われるでしょう。

引用される「クチコミの鮮度」も大事

AI時代に生活者から選ばれ続けるブランドであるためには、以下の2つの情報発信戦略が求められます。

  1. 専門的な研究データや科学的根拠(エビデンス)を積極的に発信する:これまで生活者に届きにくかった専門情報を、AIを介して分かりやすい形で伝えることで、ブランドの技術力や処方へのこだわりが信頼獲得に繋がります。
  2. 生活者からの「熱い一次情報」を引き出すための環境を整える:「コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアクリーム」の「3時間多く眠ったような肌」や、「RMK ラスティングジェルクリーミィファンデーション」の「素肌っぽいをつくりこむ」といった、商品独自のベネフィットを一貫して伝え続けることで、生活者の体験談として言語化され、蓄積されていくでしょう。これらがAI時代の重要な資産になると考えられます。

本調査のデータを用いたウェビナーの詳細な内容は、以下のリンクからご覧いただけます。

調査概要

  • 調査名称:AI利用実態および美容購買行動

  • 調査主体:株式会社電通マクロミルインサイト (https://www.dm-insight.jp/)

  • 調査方法:インターネット

  • 調査対象:全国15歳~59歳 男女

  • サンプル数:1,300名

  • 調査期間:2026年4月15日~4月20日

    • ※美容(ブランド・コスメ商品):コスメやスキンケア、ボディケア、ヘアケア、美容医療等の「美容」に関する商品やサービスを指します。

    • ※AI(人工知能):AIチャット、AI検索、AIによる診断やおすすめ機能などを含みます。

株式会社アイスタイル 会社概要

  • ウェブサイトhttps://www.istyle.co.jp/

  • 所在地:〒107-6034 東京都港区赤坂 1-12-32 アーク森ビル 34 階

  • 設立:1999年7月27日

  • 資本金:71億7,900万円

  • 代表者:代表取締役社長 遠藤 宗

  • 事業内容:美容系総合ポータルサイト@cosmeの企画・運営、関連広告サービスの提供

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