Data & AI Conference『Trust2026』が盛況のうちに閉幕 ― 産官学16名がAI時代の「信頼」を多角的に議論

テクノロジー

「信頼(Trust)」の多層性に着目したプログラム

カンファレンスのテーマである「信頼」は、データやAIが社会の意思決定に大きな影響を与える現代において、誰もが安心してデータを託せる基盤をどのように築くかという問いに深く関わります。この「信頼」は、単一の層だけでは成り立たず、国家レベルの安全保障としてのデータ主権やソブリンAI、それを支えるインフラ、基盤モデル、そして個人の権利を守る制度まで、複数の層が積み重なることで初めて「安心できるデータとAI活用」が実現するという考えが示されました。

『Trust2026』では、この多層性を反映したプログラム構成が特徴でした。半導体・計算基盤、基盤モデル、データ、制度・ガバナンスといった各レイヤーを縦断する形で、基調講演2本、メインセッション5本、サブセッション3本の計10本のプログラムが展開されました。

カンファレンス会場の様子

産官学のトップランナーが登壇

本カンファレンスには、富士通株式会社、さくらインターネット株式会社、エヌビディア合同会社、株式会社Preferred Networks、株式会社ABEJA、KDDI株式会社、株式会社野村総合研究所、デジタル庁、AIセーフティ・インスティテュート、個人情報保護委員会、東京大学、新潟大学など、産官学の多様な組織から16名が登壇しました。

開会にあたっては、自由民主党衆議院議員(前デジタル大臣)の平将明氏、株式会社博報堂DYホールディングス執行役員 Chief AI Officerの森正弥氏より応援ビデオメッセージが寄せられ、会場で上映されました。平氏はソブリンAIの重要性と日本のConfidential Computingへの期待を、森氏はAIがエージェントへ進化する中でのデータの安全性やAIの判断への責任、そして人間中心のAIやソブリンAIを巡る産官学の議論への期待について言及しました。

応援ビデオメッセージの告知画像

基調講演:AI時代の社会インフラと国産クラウドの重要性

基調講演では、「ソブリン」をテーマに、社会インフラと国産クラウドの両面から議論が展開されました。

  • 基調講演01:AI時代の社会インフラにおけるソブリンの重要性と戦略
    富士通株式会社 執行役員専務 パブリック事業CEOの林恒雄氏は、AI時代の社会インフラにおいて、データ・計算資源・AIモデルなどを自律的に管理する「Societal Sovereignty(社会的主権)」が重要であると説明しました。日本の現場力や運用力を生かし、国際協調と代替可能性を確保しながら、信頼できるAIを社会に実装する必要性が示されました。

    富士通株式会社 執行役員専務 パブリック事業CEO 林恒雄氏の講演

  • 基調講演02:ソブリン時代で、AIを動かし続けるために ― 国産クラウド・ガバメントクラウドの重要性
    さくらインターネット株式会社 代表取締役社長の田中邦裕氏は、国産クラウド事業者として、AIを動かし続けるための基盤のあり方を示しました。AIが台頭する現代において、データ・運用・法制度・技術を国内で主体的に管理する「主権性」を確保し、AIインフラを安定して使い続けられる環境を整えることの重要性を強調しました。

    さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕氏の講演

メインセッション:5つのレイヤーを縦断する議論

5つのメインセッションでは、「信頼」を構成する各レイヤーについて、最前線で活躍するプレイヤーたちが議論を交わしました。

  • セッション01:ハードウェアから創る”信頼” ― CPU/GPUが実現するConfidential AIの最前線
    エヌビディア合同会社、富士通株式会社、Acompanyの登壇者が、Confidential ComputingによるAI計算基盤への信頼埋め込みについて議論しました。ハードウェアを信頼の起点とすることで、計算中のデータやAIモデルを保護し、安全なAIエージェントやConfidential AI(機密AI)の社会実装を進める可能性が示されました。

    セッション01のパネルディスカッション

  • セッション02:『信頼できるAI』はいかにして創られるか? ~セキュアなデータ活用とAIセーフティの最前線~
    AIセーフティ・インスティテュート、Preferred Networks、ABEJA、Acompanyの登壇者が、「信頼できるAI」を成り立たせる要件を、制度・基盤モデル・産業応用の3つの立場から検討しました。Preferred Networksの国産LLM「PLaMo」やABEJAの産業特化型LLMの構想を通じ、データ主権と秘匿性を確保しながらAIを社会やミッションクリティカル業務へ広げる取り組みが紹介されました。

    セッション02のパネルディスカッション

  • セッション03:データ主権を、日本の手に ― ソブリンクラウドが支える、AI時代の信頼基盤
    デジタル庁、KDDI株式会社、株式会社野村総合研究所の登壇者が、データを国内・自社の管理下に置く要請と、それを支えるクラウド基盤のあり方について議論しました。デジタル庁からは、ガバメントAI「源内」に国産LLMを活用し、行政における信頼性を高めるとともに、国内AIの育成と日本の自律性確保につなげる取り組みが紹介されました。

    セッション03のパネルディスカッション

  • セッション04:人間とAIの協働 ― 研究最前線からの視点
    東京大学とAcompanyの登壇者が、人とAIの協働において、AIの助言が人の判断や公平性に与える影響について紹介しました。Confidential ComputingやRemote Attestation、AIセキュリティを組み合わせた「秘密を守れるAI」の構想を踏まえ、2030年の人とAIの役割分担や、協働に必要な信頼のあり方が議論されました。

    セッション04のパネルディスカッション

  • セッション05:個人のデータを、守りながら生かす ― 改正個人情報保護法と、Confidential Computing / Confidential AIの親和性
    個人情報保護委員会、新潟大学、ひかり総合法律事務所、Acompanyの登壇者が、改正個人情報保護法の動向を踏まえ、個人データの保護と活用を両立させる制度設計と、Confidential Computing / Confidential AIという技術的アプローチの接点について議論しました。PETsやConfidential Computingを活用したデータガバナンスの重要性が強調されました。

    セッション05のパネルディスカッション

サブセッションと交流・懇親会

メインセッションと並行して、3本のサブセッションも実施されました。これらはConfidential Computingの技術解説から、現場でのAI活用の判断、実際の導入事例までを段階的に扱う構成で、実務に役立つ情報が提供されました。これらのサブセッションは、後日オンラインでのアーカイブ配信が予定されており、当日参加できなかった方も視聴可能です。

アーカイブ配信の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.acompany.tech/service/event/2026-personal-information-protection-trust2026sub-encore/

会期後には約140名が参加する交流・懇親会が開催され、登壇者と参加者が業種や立場を越えて活発な意見交換を行いました。

交流・懇親会の様子

開催概要

  • イベント名:Data & AI Conference『Trust2026』― 誰もが安心できる、データとAI活用の未来を考えるカンファレンス ―

  • 開催日:2026年9月1日(火)13:00–18:30(交流・懇親会 18:30–20:00)

  • 会場:浅草橋ヒューリックホール&カンファレンス

  • 開催形式:オフライン

  • お申込み:約600名

  • 来場者:約400名

  • 交流・懇親会:約140名

  • 登壇者:産官学16名(Acompanyメンバーを含め総勢25名)

  • プログラム:基調講演2本/メインセッション5本/サブセッション3本

  • 主催:株式会社Acompany

  • 後援:一般財団法人情報法制研究所(JILIS)/一般社団法人AIガバナンス協会/プライバシーテック協会/Confidential Computing Consortium/Frontria/一般社団法人新経済連盟

  • 公式サイトhttps://www.acompany.tech/trust2026

株式会社Acompanyは、Confidential AI(機密AI)に関連する製品・技術と、機密データ活用に関するコンサルティングサービスを提供しています。

  • 株式会社Acompanyについて

    • 代表者:代表取締役CEO 高橋 亮祐

    • 所在地:愛知県名古屋市中区栄二丁目1番1号 日土地名古屋ビル7階

    • 設立:2018年6月

    • URLhttps://www.acompany.tech/

    • 事業内容:Confidential AI(機密AI)に関連した製品・技術と、機密データ活用に関するコンサルティングサービスの提供

本件に関するお問い合わせは、株式会社Acompany Data & AI Conference『Trust2026』事務局まで。
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