日本の製造業20社が連携 「製造AIXアベンジャーズ™」が始動し、純国産フィジカルAI搭載加工機を共同開発

テクノロジー

「製造AIXアベンジャーズ™」が発足

日本を代表する製造業各社が連携し、アルム株式会社を中心に「製造AIXアベンジャーズ™」プロジェクトが始動しました。この大規模な企業連合は、日本の製造業の国際競争力強化と、グローバル市場での優位性確立を目的としています。2026年10月1日から2030年9月30日までの期間で、純国産フィジカルAIを搭載した世界最高水準の完全自動切削加工マシンの共同開発と導入を進めます。

製造 AIX アベンジャーズ

プロジェクトの目的と概要

本プロジェクトの主要な目的は、日本が誇る高度な加工技術と製造ノウハウを産業横断的に集約し、AIに学習させることで、新たな製造インフラを構築することです。

共通プラットフォームとして、アルム株式会社が開発する完全自動マシニングセンターの新機種「TTMC Type-M」と「TTMC Type-L」が導入されます。これにより、大型切削加工の完全自動化とAI化の実現を目指します。

TTMC Brain:製造AIプラットフォームの中核

TTMCシリーズのAI制御システムである「TTMC Brain」は、プロジェクトの中核を担います。アルム独自の3D認識エンジン「ARUMCAD」を基幹システムとして搭載しており、STEPデータ(3次元CADデータ)を入力するだけで、以下の工程を0.1秒単位で高速解析・自動生成します。

  • 加工工程設計

  • NCプログラム生成

  • 素材選択

  • 工具選定

  • 工具段取り

  • ロボットモーション生成

  • ロボット制御プログラム生成

これにより、熟練技術者が行ってきた工程設計から加工準備までのプロセスをAIが実行することを目指しています。さらに、参画企業から提供される製造データや加工ノウハウを継続的に学習することで、TTMC Brainは産業横断的に進化する製造AIプラットフォームへと成長していく予定です。

新機種「TTMC Type-M」と「TTMC Type-L」

プロジェクトでは、以下の2種類の完全自動マシニングセンターが導入されます。

TTMC Type-M

ニデックマシンツール株式会社製の門型五軸加工機をベースに、アルム独自のTTMC仕様にカスタマイズされた機種です。

  • 対応加工: 5軸5面加工

  • 加工サイズ: □500mmクラス

  • 対応部品: ミドルクラス(約1トンサイズ)部品

  • 特徴: TTMC Brainによる完全自動加工、鋳造部品への対応、自由クランピングへの対応(開発予定)

TTMC Type-L

5軸制御立型複合加工機をベースに、アルム独自のTTMC仕様にカスタマイズされた機種です。

  • 対応加工: 5軸5面加工

  • 加工サイズ: Φ1200×H480mmクラス

  • 対応部品: ミドルクラス(約1トンサイズ)部品

  • 特徴: TTMC Brainによる完全自動加工、旋削加工、鋳造部品への対応、自由クランピングへの対応(開発予定)

両機種ともに、大型・複雑形状部品の高精度加工を人手を極力介在させることなく実現することを目標としています。

対象産業と参画企業

「製造AIXアベンジャーズ™」が対象とする産業分野は、自動車、半導体製造装置、建設機械、宇宙・航空、防衛、工作機械、エネルギー、その他大型機械産業など多岐にわたります。

現在、約20社がプロジェクトへの参画を予定しており、主な企業は以下の通りです(50音順)。

  • アルム株式会社

  • 京セラ株式会社

  • 株式会社神戸製鋼所

  • ニデックマシンツール株式会社

  • 日本マイクロソフト株式会社

  • Sojitz Infrastructure Vietnam Company Limited(アルムの東南アジア進出支援)

  • Long Duc 3 Industrial Park Joint Stock Company(アルムの東南アジア進出支援)

今後も、さらなる企業、研究機関、パートナー企業の参画を進め、日本発の製造AIエコシステム形成を目指します。また、この取り組みは日本国内に留まらず、米国、韓国、欧州へと順次展開される予定です。

各社からのコメント

アルム株式会社 代表取締役CEO 平山 京幸氏は、日本が持つ世界最高水準の製造技術が個社ごとに分散している現状を指摘し、「製造AIXアベンジャーズ™」を通じて、これらの知見を結集し、人類最高レベルの製造AIを実現したいと述べています。日本の製造AIが世界中の工場で利用される未来を目指し、新たな競争力を創出していく考えです。

京セラ株式会社 ファインセラミック事業本部 セラミック2事業部 副事業部長 宗石 猛氏は、セラミックス加工における熟練技術者の技に支えられてきた現状に対し、本プロジェクトを通じて、人手に頼ってきた加工工程の自動化・AI化を進めることに期待を寄せています。労働人口減少や技能伝承といった課題に対し、日本発の技術で貢献したいと語っています。

株式会社神戸製鋼所 執行役員/機械事業部門 事業部門長 猿丸 正悟氏は、AIやデジタル技術の活用が生産性向上や製造プロセスの高度化に不可欠であるとし、企業の枠を超えた多様な知見の結集により、日本のものづくりの競争力向上に貢献していく意向を示しています。

ニデックマシンツール株式会社 執行役員 マシニングセンタ事業部長 岡山 佳樹氏は、ハードウェアと最先端AIの融合が製造現場をどのように変革するかを楽しみにしていると述べ、工作機械メーカーとしてAIを活用した新たな可能性に期待を寄せています。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員/常務/最高技術責任者 野嵜 弘倫氏は、日本の製造業が持つ高度な加工技術やノウハウをAIと融合させる本取り組みの意義深さを強調しています。特に、熟練技術者の知識やデータをAIに取り込み、工作機械やロボットを自律制御するフィジカルAIの領域が、今後の製造業における重要なイノベーションであるとし、日本マイクロソフトはAIおよびクラウドテクノロジーを通じて、この挑戦を支援していくと表明しています。

Sojitz Infrastructure Vietnam Company Limited General Director 石井 博之氏Long Duc 3 Industrial Park Joint Stock Company General Director 矢野 雄一郎氏は、双日グループとしてアルム株式会社のベトナム工業団地への進出支援や、海外市場における機器販売支援を通じて、日本発の製造AI技術が国内外のものづくり高度化に貢献することに期待を寄せています。

今後の展開

アルム株式会社は、このプロジェクトを通じてTTMC Brainの高度化を推進し、TTMCシリーズをグローバル市場へ展開することで、日本発の製造AIプラットフォームとして世界のものづくり高度化に貢献していく方針です。

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