化粧品の日本市場、2035年には535.4億米ドル規模へ拡大予測:最新レポートが示す成長戦略とトレンド

ファッション・美容

化粧品日本市場の成長予測:2035年には535.4億米ドル規模へ

株式会社マーケットリサーチセンターが発表した「化粧品の日本市場(2026年-2035年)」調査資料によると、日本の化粧品市場は今後10年間で安定した成長が見込まれています。

2025年時点で348.1億米ドル規模に達している同市場は、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)4.4%で拡大し、2035年には535.4億米ドルに達すると予測されています。

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市場成長を支える主要な要因

日本の化粧品市場の成長を後押しする主な要因として、以下の点が挙げられます。

  • スキンケア意識の高まり: 消費者の間で肌への関心が高まり、日常的なスキンケア習慣が定着しています。

  • プレミアム化: 高品質で高機能なプレミアム化粧品への需要が増加しています。

  • ECの拡大: オンライン販売チャネルが急速に成長し、消費者の購入行動に変化をもたらしています。

  • 科学的根拠を重視した処方: 効果の根拠が明確な製品や、自然由来成分を活用した製品開発が活発です。

  • J-Beautyの国際的評価: 日本独自の高品質な美容製品が世界的に注目されています。

  • 男性向けグルーミング市場の拡大: 男性消費者の美容意識が高まり、関連製品の需要が増えています。

  • インバウンド需要の回復: 訪日外国人観光客による化粧品購入が増加しています。

  • オーガニック・サステナブル化粧品への関心: 環境や倫理に配慮した製品を選ぶ消費者が増えています。

製品カテゴリー別の動向

スキンケアおよびサンケア

スキンケアおよびサンケアは、日本の化粧品市場において最大のカテゴリーであり、予測期間中もCAGR約4.5%で成長すると見込まれています。日本では化粧水、美容液、乳液、クリーム、UVケアなど複数のスキンケア製品を使い分ける習慣が根付いており、安定した需要があります。高齢化に伴うアンチエイジング需要や、夏季の高温化による紫外線対策、皮脂・毛穴ケアへの関心も需要を押し上げています。

特に、科学的なエビデンスや機能性を前面に出したスキンケアが重視されており、資生堂や花王などの国内大手企業は、アンチエイジング、皮膚バリア、発酵由来成分、バイオテクノロジー活用成分などの研究開発を継続しています。サンケア製品も多様化が進み、通年型のカテゴリーへ移行する可能性が指摘されています。

メイクアップ・カラー化粧品

メイクアップ市場では、肌を均一で自然に見せるベースメイクへの需要が重要です。ファンデーション、下地、コンシーラーなどでは、厚塗り感を抑えつつカバー力を高めることや、UVケア、スキンケア機能を組み合わせることが差別化につながっています。メイクアップ製品にも美容液成分や保湿成分などを配合し、スキンケアとの融合が進められています。花王の「KATE」ブランドのグローバル展開強化など、日本発メイクアップブランドの海外成長も注目されています。

ヘアケア、フレグランス・デオドラント

ヘアケア市場は、シャンプーやコンディショナーだけでなく、頭皮ケア、ダメージ補修、白髪・エイジングケアなど用途が細分化しています。高齢化が進む日本では、高機能ヘアケアの需要が持続すると考えられます。

フレグランスやデオドラントは、男性やユニセックス市場の拡大が期待されています。日本では強い香りを避ける傾向もあるため、軽い香りや清潔感を重視した製品、機能性デオドラントなどに独自の市場機会が存在します。

価格帯別市場の動向:プレミアム市場が成長を牽引

価格帯別では、マス市場が依然として最大のシェアを占めていますが、最も高い成長率を示すのはプレミアム市場です。プレミアム価格帯は2026年から2035年にかけてCAGR約5.7%で成長すると予測されており、市場全体の成長率を上回ります。高級スキンケア、ラグジュアリーフレグランス、百貨店ブランド、免税店需要などが背景にあります。

日本の化粧品消費者は価格だけでなく、ブランドの歴史、研究開発力、成分、安全性、使用感、パッケージ、接客体験などを総合的に評価する傾向があります。マス市場も強固であり、高品質な中価格帯・低価格帯化粧品が充実しているため、日常使いはマス製品、スペシャルケアは高級品という使い分けが広がる可能性があります。

流通チャネルの変化:オンライン販売の台頭

流通面では、オンライン販売が最も高い成長率を示しており、2026年から2035年にCAGR約8.0%で拡大すると予測されています。EC、ブランド直販のDTC(Direct to Consumer)、越境ECなどが拡大し、スキンケアやプレミアム商品を中心にオンラインでの購入が一般化しています。

化粧品ECでは、AIによるパーソナライゼーション、オンラインカウンセリング、バーチャル試着、定期購入などの機能が重要になっています。特にバーチャル試着は、メイクアップ商品のオンライン販売拡大にとって重要な要素となるでしょう。

一方で、オフライン流通も依然として市場の中心です。ドラッグストア、専門店、スーパー、百貨店などが高い販売力を持っています。特に高価格帯では美容部員によるカウンセリングやブランド体験が購買行動に大きく影響するため、リアル店舗とデジタルを組み合わせたオムニチャネル戦略が重要視されています。

注目のトレンド:サステナビリティとバイオテクノロジー

サステナビリティは、日本の化粧品市場における重要なトレンドの一つです。詰め替え容器、再生可能・リサイクル可能な包装、オーガニック成分、低毒性・パラベンフリーなど、環境や安全性を意識した製品開発が強化されています。日本では詰め替え文化が広く定着しており、サステナブル化を進めやすい市場環境です。若年層を中心に、環境配慮が購買理由の一部になりつつあります。

自然派・オーガニック化粧品も成長余地があり、刺激の強い成分を避けたい、肌に優しいものを使いたいというニーズが高まっています。ただし、日本市場では科学的な安全性や有効性も重視されるため、ナチュラルとサイエンスを融合した商品が支持されやすいでしょう。

バイオテクノロジーの活用も今後の成長テーマです。資生堂はオープンイノベーションやバイオテクノロジー研究開発を強化しており、発酵、微細藻類、皮膚科学などを活用した次世代化粧品素材の開発を進めています。こうした研究開発は、J-Beautyの競争力を左右する重要な要素と考えられます。

競争環境と今後の展望

日本の化粧品市場では、資生堂、花王などの国内大手と、L’Oréal、Estée Lauder、Procter & Gamble、Beiersdorf、Unileverなどのグローバル企業が激しく競合しています。今後は、「科学性」「ブランド力」「プレミアム感」「サステナビリティ」「デジタル体験」の組み合わせが競争優位を築く上で重要になると考えられています。

市場は「美しく見せるための商品市場」から、「肌科学、健康、自己表現、環境意識、デジタル体験を統合した美容市場」へと進化していくと予測されています。特に、科学的根拠を持つスキンケア、プレミアムブランド、AIを活用したパーソナライゼーション、環境配慮型包装、男性・ユニセックス美容が、今後10年間の市場構造を大きく変える主要なテーマとなるでしょう。

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