Z世代のコスメ購買動機を深掘り:「欲しかったのに買わなかった」背景に「自分らしさ」を追求する意識

ファッション・美容

調査概要

今回の調査は、表参道にておしゃれなZ世代の女性20名を対象に、2026年6月14日(日)に街頭インタビュー形式で行われました。主な質問項目は以下の通りです。

  • 最近、欲しかったけど結局買わなかったものはありますか?

  • 一番最初に知ったきっかけは?

  • 購入を検討する上で、あなたを止めたものは?とどまった理由は?

  • 最後のひと押しがあるとしたら?どんな後押しがあったら買ってた?

  • 購入するかを判断するために、どんな情報を参考にしましたか?買う前に、一番確認したこと、したかったことは?

  • 最初に聞いたアイテムは買わなかったとのことですが、では何か別のアイテムで置き換えてますか?

「欲しい」の起点は商品ではなく「完成したスタイル」

調査結果によると、Z世代がコスメを知るきっかけは多様です。Instagram、YouTube、TikTokなどのSNSだけでなく、店頭でのタッチアップや友人・家族からの情報も重要な役割を果たしていました。商品を知った主なきっかけとして、SNSと店頭がそれぞれ8人と同数であったことから、SNSだけが入り口になっているわけではないことが分かります。

商品を知った主なきっかけのグラフとコメント

特に注目すべきは、SNSをきっかけに商品を知った場合でも、最初から特定の商品を探していたわけではないという点です。商品名よりも、まず「メイクの雰囲気」や「完成したスタイル」が先行していることが明らかになりました。

Z世代は、コスメを使うことで得られる「コスメを使ったときの顔」「一緒に着る服」「髪色や髪型」「自分が近づきたい人物の雰囲気」といった全体像を重視し、自分のスタイルに取り入れる商品を探していることが伺えます。

SNSで生まれた「欲しい」は「自分に似合うか」で選別される

SNSで魅力的に見えた商品でも、それがそのまま購入につながるとは限りません。Z世代が購入前に最も重視していたのは、「色・発色・自分に似合うか」でした。20人中11人がこの点を中心的な確認事項として挙げています。

購入前に最も確認したかったことのグラフとコメント

画面上で見た色がきれいでも、実際に自分の肌にのせたときの発色や、顔全体とのなじみ方を確認するために、テスターやタッチアップが活用されていました。色の好みだけでなく、季節感や手持ちのアイテム、メイク全体のバランスを含めて判断する傾向が見られます。

コスメ選びに影響するのは「誰が使っているか」

口コミやレビューは購買行動に影響を与えますが、Z世代は情報の内容だけでなく、「誰が発信しているか」も重要な判断基準としています。有名であるか、フォロワーが多いかといった理由だけでなく、以下のような人物の発信を参考にしていることが分かりました。

  • 自分と雰囲気が近い人

  • 少し憧れている人

  • 専門的な知識を持っている人

  • 自分の好みや肌質を理解している友人や家族

商品購入のプロセスと情報発信者の影響を説明する図

具体的には、「憧れる雰囲気を持つ発信者」の実体験や、「専門的な知識を持つクリエイター」の色使いや表現、「身近で、実際の使用感を知っている人」の意見が、商品との距離を縮める影響力を持っています。発信している人物の服装やメイク、肌質、専門性、信頼度などが、口コミの受け止め方に大きく関わっていると言えるでしょう。

買わなかったあとの行動にも「自分らしさ」が表れる

欲しかった商品を購入しなかった場合でも、Z世代は「なりたい仕上がりやスタイル」を追求し続けます。その方法は一つではなく、それぞれが工夫して理想を実現していました。

  • 欲しい色を手持ちのコスメ同士で混ぜる

  • アイシャドウを涙袋用のペンシル代わりに使う

  • チークとハイライトを別々に重ねる

  • 新しいリップではなく、服やスキンケアを購入する

買わなかった後の行動と本当に欲しいものを説明する図

このことから、「どの商品を買うか」よりも、「どんな仕上がりやスタイルをつくりたいか」が優先されていることが伺えます。購入を見送った商品だけでなく、その後にどのような行動をとったかを見ることで、Z世代が本当に求めているものがより具体的に見えてきます。

人気商品より、自分のスタイルに使える商品

今回の調査から、おしゃれなZ世代のコスメ選びは、「人気商品を探すこと」よりも「自分のスタイルを組み立てること」に近いことが明らかになりました。SNSは、そのためのイメージや選択肢を見つける場所の一つとして活用されています。

Z世代のコスメ選びのプロセスと重視点を説明する図

Z世代は、SNSや身近な人物から積極的にイメージを受け取りながらも、最終的には「自分の肌での発色」「手持ちのコスメとの違い」「服や髪型との相性」「参考にしている人物のスタイルを自分ならどう取り入れるか」といった確認を重ね、自分らしいスタイルに合う商品を選んでいます。

マーケティング・商品開発への着眼点

今回の調査結果は、マーケティングや商品開発において以下の5つの着眼点を提供しています。

  1. 「欲しい」という気持ちの起点は、商品そのものではなく「完成したスタイル」にある。
  2. SNSで生まれた「欲しい」という感情は、「自分に似合うか」という基準で選別される。
  3. 商品の評価は、「誰が紹介しているか」という発信者と切り離して考えられない。
  4. 購入を見送った後も、欲しかった仕上がりは別の方法で追求される傾向がある。
  5. 新商品の比較対象は、必ずしも他社商品だけではない。

これらの着眼点は、Z世代の消費者心理を理解し、より効果的な商品開発やマーケティング戦略を構築する上で役立つでしょう。

関連情報

今回実施された調査の詳細な一次情報インタビューデータは、以下のリンクからダウンロード可能です。

スタイルアリーナ(一般財団法人日本ファッション協会)について

スタイルアリーナと日本ファッション協会のロゴ

スタイルアリーナ(style-arena.jp)は、一般財団法人日本ファッション協会が企画・運営するファッション情報サイトです。「東京のストリートファッション」をテーマに、日本のファッション文化を世界に発信することを目的に、2002年6月より運営されています。

スタイルアリーナでは、Z世代の美容やファッションに関するリアルな動きを追い、マーケティングや商品開発に役立つ調査・発信を続けています。オリジナル調査や共同企画、調査データの提供に関する相談も受け付けています。

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