参加した2つのプログラム
1. 国際会議「Inclusive and Smart Tourism Destinations」への参加
2026年6月18日に開催された国際会議「Inclusive and Smart Tourism Destinations: Strategies for innovation」は、アクセシブルでスマートな観光地づくりをテーマとしたものです。イタリア・ジェノバ水族館を会場に、オンラインとのハイブリッド形式で実施され、観光地のアクセシビリティ整備の多様な事例が共有されました。

2. ENAT年次総会での登壇
2026年6月19日に開催されたENAT年次総会では、ENATのメンバーや関係者が集まり、組織の活動報告や今後の方向性、各国・各地域におけるアクセシブルツーリズムの取り組みが共有されました。株式会社ふらっとけあは、この総会に招待され、日本におけるアクセシブルツーリズムの現状と同社のアクセシビリティ情報整備への取り組みについてスピーチを行いました。

国際会議で示された欧州アクセシブルツーリズムの4つの潮流
今回の国際会議では、欧州のアクセシブルツーリズムにおける先進的な考え方が示されました。日本とは異なる、欧州ならではのアクセシブルツーリズムに対する理解と取り組みが普及していることが明らかになっています。
1. 「Tourism for All」の考え方が浸透し、地域全体に価値を創出
欧州では「Tourism for All(ツーリズム・フォー・オール)」という理念が広く浸透しています。これは、アクセシビリティを一部の人々への特別対応と捉えるのではなく、より多くの旅行者が観光を楽しみ、地域住民にとっても暮らしやすい環境を構築するための基盤と位置づける考え方です。
たとえば、フィンランドのタンペレでは、アクセシブルビーチや自然トレイル、国立公園へのアクセス改善など、訪問者と地域住民の双方にとってバリアのない自然体験を可能にする取り組みが進められています。また、リュブリャナでは、公共交通や自転車シェア、城へのケーブルカーと連携するURBANAカードやアプリのほか、高齢者や障害のある方が無料で利用できる電動車、車椅子対応スポットを案内するアプリなどが整備されています。
段差の少ない動線や移動しやすい交通環境といったインフラ整備は、車椅子利用者だけでなく、高齢者、子ども連れの家族、そして地域で暮らす全ての人々の日常的な移動を容易にします。さらに、観光客向けに整理されたアクセシビリティ情報は、旅行の計画だけでなく、地域住民が外出先の利用可否を調べる際にも役立つ情報源となります。

2. 巨大なアクセシブル市場が地域経済を動かす投資領域に
世界保健機関(WHO)の推計によると、世界で約13億人、すなわち世界人口の約6人に1人が重大な障害を経験しています。欧州委員会は、障害のある方や高齢者にとって交通や教育、雇用市場へのアクセス障壁が低減されるだけでなく、アクセシビリティ専門性が必要な雇用の増加にも繋がると指摘しています。
欧州ピエモンテ州の試算では、欧州におけるアクセシブルツーリズムの潜在市場は約1億3,000万人、年間購買力は680億ユーロ(約12.5兆円)を超えるとされています。この巨大な市場規模に基づき、アクセシブルツーリズムは「責任ある持続可能な観光」の重要領域として、環境整備への投資が進められています。
宿泊施設が客室や浴室の詳細な情報を開示することで、これまで予約に不安を感じていた旅行者からの選択肢となる可能性が高まります。また、観光地がアクセシブルな動線や体験を発信することで、新たな旅行者層を獲得し、地域の新しい魅力として訴求することが可能になります。欧州では、アクセシブルツーリズムを「公共の福祉」に限定せず、ビジネスチャンスを獲得するための投資として理解する動きが加速しています。

3. インフラ整備だけでなく情報発信による集客まで視野に入れた取り組みが一般的
欧州では、整備されたアクセシビリティインフラの情報を旅行者に届く形で整理・宣伝し、集客に繋げることまでが強く意識されています。アクセシブルな設備が存在しても、その情報が見つからなかったり、予約導線と繋がっていなかったりすれば、旅行者の意思決定には繋がりません。
今回の国際会議に登壇したカタルーニャの事例では、公式アクセシブル観光サイト「Catalonia, tourism for everyone」を公開し、行き先、宿泊、体験、交通、サービス、旅行会社などのカテゴリーでアクセシブル観光情報を整理しています。さらに、公式観光サイトではアクセシブルルートやアクセシブルホテルもテーマ別に掲載されています。
欧州では、アクセシブルツーリズムをビジネスとして成立させるために、インフラ整備だけでなく、整備された内容を世界に伝えるための情報発信、プロモーション、データベース化、観光DXまで含めた取り組みが標準となりつつあります。

4. 整備後のトレーニング、認証、観測など継続的な投資が重視
欧州では、人材育成、情報更新、品質確認への継続的な投資が必要であるという考え方のもと、アクセシブルツーリズムの実現に向けた継続的な投資も重視されています。具体的には、現場スタッフや監査員へのトレーニング、第三者基準に基づく認証、観光地全体の状況を把握する観測機能、情報の更新体制などです。
ポルトガルでは、NP ISO 21902:2022に基づくアクセシブルツーリズム認証の取り組みが進められ、技術文書、認証、監査員向け研修などを通じて、観光セクター全体で一貫したアクセシビリティ品質を確保しようとしています。また、ピエモンテ州の「Turismabile」プロジェクトでは、2007年から観光アクセシビリティ改善と地域のプロモーションを継続して行い、観光事業者向けの研修や観光資源の評価、改善計画の作成、専門旅行会社との連携による観光商品企画・プロモーションなどを実施しています。Turismabileの「アクセシビリティ・チェーン」は、観光事業者が自施設のアクセシビリティ情報を整理し、旅行者への正確な情報提供に繋げる仕組みも提供しています。
さらに、AccessibleEUは、建築環境、交通、情報通信技術などのアクセシビリティを扱う欧州のリソースセンターとして、イベント、ワークショップ、トレーニング、オンラインキャンパスを通じた知見共有と人材育成を進めています。これらの事例からも、欧州ではアクセシブルツーリズムの定着に向けて、トレーニング、認証、観測、情報更新への継続的な投資が行われていることがわかります。

ENAT年次総会で株式会社ふらっとけあが話した内容
ENAT年次総会でのスピーチでは、日本のバリアフリーの現状と今後の課題が発表されました。日本には、交通インフラ、歴史・文化資源、観光施設、地域の受入体制など、世界に発信できるバリアフリーの土壌があります。また、歴史的建造物や寺社仏閣、伝統文化体験、地域観光など、日本ならではの観光資源の中にも、車椅子利用者を含む多様な旅行者が楽しめる可能性のあるコンテンツが数多く存在します。
一方で、アクセシブル旅行では、旅行者が訪問可否を判断するために必要な情報の粒度が、一般的な観光情報よりも細かくなります。単に「バリアフリー対応」と記載されているだけでは、旅行者や旅行会社が比較・検討・手配を行うには不十分です。情報が整理されていれば、日本の観光はより販売しやすくなり、予約後の手配や現地対応も正確になります。しかし、情報が施設ごとに分散していたり、確認に時間がかかったりすると、販売機会を逃す要因になり得ます。
こうした課題に対し、株式会社ふらっとけあは、宿泊、移動、必要な支援体制に関するアクセシビリティ情報を、独自に開発したアセスメント項目を活用して収集・整理し、旅行者、観光事業者、自治体、海外旅行会社が活用できる形で発信していく取り組みを紹介しました。
今後の展望
株式会社ふらっとけあは、欧州で定着している「ツーリズム・フォー・オール」の考え方に基づき、アクセシビリティ情報の公開、トレーニング、認証、継続的な情報更新という流れを取り入れ、日本国内におけるアクセシブルツーリズムの推進をさらに強化していく方針です。
具体的には、宿泊施設、観光施設、交通機関、地域資源に関するアクセシビリティ情報の収集・整理を進め、自治体や観光事業者と連携しながら、誰もが事前に情報を確認し、安心して旅行を計画できる環境づくりを推進します。特定の人だけのための特別対応ではなく、観光地の品質を高め、地域の新しい需要を生み、誰もが旅行を楽しめる社会を築くための産業インフラを構築するため、欧州で蓄積されている知見を日本の現場に適切に取り入れ、アクセシビリティ情報の整備と現地運用を両立させることで、訪日旅行の新しい選択肢を広げていくとしています。
株式会社ふらっとけあについて
株式会社ふらっとけあは、「日常に役割と刺激をデザインする」というミッションのもと、アクセシブルツーリズム領域におけるサービス提供業者・旅行サービス手配業者として、旅行機会の創出に取り組んでいます。年齢や障がい、身体状況を理由に旅行を諦める人を減らし、日本を含む世界中の人々に、より開かれた旅行機会を届けることを目指しています。日本国内の宿泊施設、観光施設、交通、地域資源に関するアクセシビリティ情報を収集・整理し、旅行者が事前に必要な情報へアクセスできる環境づくりを進めています。

会社概要
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会社名: 株式会社ふらっとけあ
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所在地: 〒210-0834 神奈川県川崎市川崎区大島2-2-6
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代表者: 代表取締役 鈴木颯斗
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設立: 2025年10月28日
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事業内容: バリアフリーのコンサルティング事業、バリアフリー旅行専用のサービス手配事業
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許認可: 神奈川県知事登録旅行サービス手配業第161号
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URL: https://flatcare.jp/
メディア・観光事業者の皆さまへ
株式会社ふらっとけあでは、今回の国際会議で確認された欧州アクセシブルツーリズムの最新動向や、訪日アクセシブル旅行に関する取り組みについて、担当者よりメディア関係者向けに説明することが可能です。ご希望に応じて、事業概要や関連資料を含むプレスキットも提供されます。また、ホテル、観光施設、旅行会社、自治体・DMOの皆さまに対しては、アクセシビリティ情報の整理・発信を通じて、旅行者の不安を減らし、予約前の判断、集客、正確な手配、予約後の対応に繋がる支援を行っています。欧州のトレンドや、訪日アクセシブル旅行における情報整備・発信にご関心のあるメディア関係者、観光事業者、旅行会社、自治体・DMOの皆さまは、ぜひ下記よりお問い合わせください。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社ふらっとけあ 広報担当
flatcare2025@gmail.com


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