MECCANISMO・LAB、NIMSの技術を基に120℃・大気圧でのウエハ接合を実現する全自動装置を開発

テクノロジー

開発の背景:低温・大気圧接合への期待

半導体デバイスの高性能化や高集積化が進むにつれて、ウエハ同士や異なる材料の接合技術の重要性は増しています。しかし、従来の接合プロセスでは、材料への熱影響や設備の複雑化、コスト増加といった課題がありました。これらの課題に対し、低温・大気圧で接合を行う本技術は、特に熱に弱い材料や異種材料の接合において有効な手段となる可能性を秘めています。

開発成果:6インチ対応全自動装置で接合を実証

今回開発された装置は、6インチウエハに対応し、ウエハ搬送から表面活性化処理、そして接合までの一連の工程を全自動で行います。実機による検証では、120℃・大気圧環境下でのウエハ接合が実際に成立することが確認されました。この取り組みは、研究段階で確立された低温・大気圧接合プロセスを、実用可能な装置として再現したものであり、実用化に向けた重要な一歩と言えます。

低温・大気圧環境でのウエハ接合装置のイメージ

この装置は、蒸気を含有したN2環境下での紫外線照射と極薄架橋形成、そして低温・大気圧環境での接合を自動で統合するプロセスを採用しています。接着剤を使用せず直接接合を行うため、低ダメージで信頼性の高いウエハ接合が期待されます。

装置化のポイント:プロセスと装置の一体設計

低温・大気圧接合では、湿度、蒸気密度、紫外線照射条件、温度といったプロセス条件が接合品質に大きく影響します。本装置の開発では、これらの条件を安定的に制御できる構成を重視し、材料や用途に応じた最適化が可能な基盤が構築されました。接合品質は、材料の組み合わせや表面状態、処理条件に加え、装置側の制御精度にも大きく依存するため、プロセスと装置の一体設計が重要なポイントとなっています。

今後の展望:半導体後工程・異種材料接合への応用

本技術は、既存の接合プロセスを置き換えるものではなく、低温・大気圧で実現できる新たな接合手段として、将来の選択肢の一つとなることを目指しています。特に、半導体後工程におけるウエハ接合や、異種材料を扱う用途での新たなプロセスの可能性が期待されます。

また、パワーデバイス、光学デバイス、MEMS、センサー、さらにはフィルム材料などの柔軟材料への応用も検討が進められています。今後は、NIMSの技術的知見を基に、半導体メーカー、装置メーカー、材料メーカー、研究機関と連携し、用途ごとの接合条件の最適化や実用化に向けた検証が進められる予定です。この技術は、装置構成の簡素化や運用性の向上にもつながる可能性があります。

なお、本技術の接合プロセスに関する知的財産はNIMSが保有しており、MECCANISMO・LABは装置開発および実装を通じて、この技術の社会実装に貢献していくとのことです。

関係者コメント

NIMS ナノアーキテクトニクス材料研究センター スマートインターフェイスチーム チームリーダー 重藤 暁津氏
「完全大気圧かつ全自動でウエハスケールの接合実証に成功したことで、本技術の実用化に向けた重要な一歩となりました。今後は、ウエハ洗浄工程との一体化や、単なる接合にとどまらない機能性界面の創生など、新たな応用展開が期待されます。また、低温・大気圧でのプロセスであることから、環境負荷の低減という観点でも意義のある技術と考えています。」

MECCANISMO・LAB株式会社 代表取締役 加藤 友規
「研究段階の接合プロセスを、装置として再現可能な形にすることにこだわって開発を進めてきました。低温・大気圧という特性は、既存の接合技術を置き換えるものではなく、将来の選択肢の一つとして、新たな応用領域を広げる可能性があると考えています。」

企業情報

  • 社名: MECCANISMO・LAB株式会社

  • 本社所在地: 茨城県つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センター内

  • 代表取締役: 加藤 友規

  • 事業内容: 研究・半導体分野を中心に、機械設計および自動化装置開発を支援。市販装置では解決が難しい課題に対し、構想設計から詳細設計まで一貫して支援。

  • 設立: 2022年1月

  • HP: https://www.meccanismo-lab.jp/

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