日本の通信API市場、2031年までに352億4,000万米ドル規模へ拡大予測

テクノロジー

通信APIとは

通信API(Telecom API)は、通信業界においてデータや機能を外部のアプリケーションやサービスと連携させるためのインターフェースです。これにより、開発者は音声通話、SMS、データ通信、位置情報サービスなど、多岐にわたる通信関連の機能を自身のアプリケーションに簡単に組み込むことができます。

市場拡大の背景

日本の通信API市場の拡大は、主に5Gやインテリジェントインフラ、リアルタイムアプリケーションの導入における日本の取り組みが原動力となっています。東京、大阪、福岡といった都市でのスマートインフラ整備が進む中、APIはセンサーネットワークの運用、エッジコンピューティングデバイスの制御、モビリティシステム、環境モニタリング装置、災害警報プラットフォーム間のリアルタイムデータストリームの円滑化に活用されています。

2010年代初頭から、NTT、KDDI、ソフトバンクといった通信各社は、柔軟なモバイルサービスの提供に応えるため、プログラム可能なAPIを通じて自社のネットワークを開放してきました。この変化は、プロビジョニング、顧客認証、デバイス互換性といった課題の解決に貢献しています。

各産業でのAPI活用

自動車、ロボット工学、スマート物流などの業界では、APIの採用が加速しています。例えば、製造業のロボットシステムでは、予知保全、エネルギー最適化、リアルタイム遠隔制御のためにネットワークAPIが使用されています。また、自動運転車プラットフォームでは、低遅延のエッジ通信やV2X(Vehicle-to-Everything)接続にAPIが活用されています。

金融業界においても、モバイルKYC(本人確認)、e-KYC、デジタルバンキングアプリケーション内での安全な通信を可能にする上で、APIは不可欠な要素となっています。

主要なAPIの種類

通信APIには多様な種類があります。主なものとして、以下が挙げられます。

  • メッセージングAPI(SMS・MMS・RCS API): 顧客との対話、マーケティングの自動化、安全な取引通知に不可欠です。特にRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)の導入が加速しています。

  • 音声API(IVRおよび音声制御API): 銀行、小売、医療業界での多言語対応ボイスボット、コールルーティング、クライアント認証などに使用されます。

  • 決済API: スーパーアプリやデジタルウォレットの台頭により、サブスクリプション課金、モバイル取引、通信事業者と連携した金融サービスなどを可能にします。

  • WebRTC API: 高速ブロードバンド環境において、ブラウザベースの音声・ビデオ通信を可能にし、スマートカスタマーケア、バーチャル教室、遠隔相談などをサポートします。

  • 位置情報および地図API: 小売分析、物流、自動運転モビリティで重要であり、車両追跡、ハイパーローカルマーケティング、公共安全アラートなどに利用されます。

  • 加入者ID管理およびSSO API: スマートシティアプリケーション、電子政府ポータル、IoTエコシステム全体におけるセキュアなオンボーディング、ユーザー認証、フェデレーテッドIDの基盤となります。

導入形態とエンドユーザー

日本の通信事業者は、オンプレミスの通信インフラとパブリックおよびプライベートクラウド環境を組み合わせたハイブリッド展開を特に好んでいます。これにより、低遅延やデータ主権、規制への準拠を確保しつつ、スケーラビリティを維持しています。また、ベンダーの柔軟性や耐障害性を求める通信事業者は、Google Cloud、Microsoft Azure、AWS Japanなどの技術を活用したマルチクラウド展開への移行も加速させています。

レイテンシーに敏感なアプリケーション向けには、エッジクラウドやデバイス上でのAPI実行も導入戦略に含まれています。これにより、産業分野におけるリアルタイム分析、自律型ロボット、スマート製造などが支援されています。

通信APIのエンドユーザーは多岐にわたります。

  • 企業開発者: 銀行、物流会社、大手製造業者などが、メッセージング、モバイルID、リアルタイム通信などのサービスを自社アプリケーションに統合するために利用します。

  • 社内通信開発者: 通信事業者内部で、SIMプロビジョニング、課金、5G向けネットワークスライシング、AI駆動型分析といった重要な通信活動をサポートするAPIを作成、保護、拡張しています。

  • パートナー開発者: クラウドプロバイダー、システムインテグレーター、エンタープライズソフトウェアベンダーに所属し、通信事業者と連携してソリューションを共同開発します。

  • ロングテール開発者: 独立系開発者やスタートアップが含まれ、開発者ポータルで公開されているオープンAPIを利用して、専門的なIoTソリューション、ボット、アプリを作成しています。

規制とコンプライアンス

日本における通信APIのガバナンスは、総務省(MIC)によって管理されており、ネットワークの開放性や合法的な傍受などが含まれます。加えて、通信秘密法や個人情報保護法(APPI)がデータ保護の枠組みに影響を与えています。プロバイダーは、ISO/IEC 27001やTM ForumのOpen API規格に準拠することが一般的です。

今後の展望

NTTドコモやKDDIといった通信事業者は、API提供を積極的に拡大しています。KDDIはリアルタイムの車両追跡や5Gエッジオーケストレーション向けのAPIを、NTTドコモはネットワークスライシングやAIを活用した顧客分析向けのAPIを提供しています。楽天モバイルのような新しいクラウド統合プラットフォームも市場に参入し、競争とイノベーションを促進しています。

日本は、5Gネットワークの普及と技術革新により、API主導のデジタルインフラ分野において世界のリーダーとなりつつあります。今後も通信APIは、さまざまな産業のデジタルトランスフォーメーションを加速させる重要な基盤として、その可能性を広げていくでしょう。

当調査レポートに関する詳細情報やお問い合わせは、以下のリンクからご確認いただけます。

コメント