出版を拒絶され続けた「最凶作品」
今回刊行される『けだもの赤子』は、1953年に描かれたゴーリーの初期作品であり、その中でも「最凶作品」と評されています。エドワード・ゴーリー・ハウスのディレクターであるグレゴリー・ヒスチャク氏は、「おそらくゴーリーの作品中もっとも可愛くないキャラクターが描かれている」と語っています。
この作品は、邪悪で醜い赤子の生きざまを描ききった内容のため、当初多くの出版社から刊行を拒否されました。しかし、ゴーリーは作品を世に出すことを諦めず、自ら出版社「ファントッド・プレス」を興し、1962年にこの『けだもの赤子』を最初の一冊として出版したという経緯があります。
現在では特に入手困難な作品とされており、その衝撃的な内容は今も色褪せていません。



訳者・柴田元幸氏が語る作品誕生秘話
本作の訳者である柴田元幸氏のあとがきによると、『けだもの赤子』は、ゴーリーの親しい友人であった作家アリソン・ルーリーが、子育ての苦労を「いまいましい赤ん坊(the beastly baby)」と表現した手紙から着想を得て誕生したとされています。ゴーリーは、この言葉を文字通りの「獣のような赤ん坊」として具現化し、ルーリーに宛てた手紙の中で「君の赤児に献げる」と記しています。
ゴーリー自身も、この本を「何の教訓もない、一種倒錯した教訓物語」と評しており、その言葉の矛盾こそがゴーリーらしいユーモアを表しています。
エドワード・ゴーリーとは

エドワード・ゴーリーは1925年にシカゴで生まれ、2000年に75歳で亡くなるまで、独自の韻を踏んだ文章とモノクロームの線画で数多くのユニークな作品を発表しました。エドワード・リアやサミュエル・ベケットの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手掛け、その幻想的な作風とアナグラムを用いたペンネームの使い分けから、熱狂的なコレクターを多く生み出しました。
代表作には、『ギャシュリークラムのちびっ子たち』、『うろんな客』、『優雅に叱責する自転車』、『おぞましい二人』、『不幸な子供』、『華々しき鼻血』、『キャッテゴーリー』などがあり、そのシュールな内容は大人同士のプレゼントとしても人気です。



新刊情報

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書名:けだもの赤子
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著者:エドワード・ゴーリー 柴田元幸訳
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仕様:B5変形版/上製/72ページ
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発売⽇:2026年2月18日
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税込定価:1,540円(本体1,400円)
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ISBN:978-4-309-25822-5
ゴーリーの世界を深掘りする記念出版も好評発売中
ゴーリー生誕100年を記念して、『EはエドワードのE ゴーリー大解剖』も好評発売中です。こちらは、ゴーリー作品のほとんどの邦訳を手がける柴田元幸氏が監修しており、創作ノートや修正前原稿、未公開資料など400点以上の図版と解説でゴーリーの世界を読み解く公式愛蔵版です。


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書名:EはエドワードのE ゴーリー大解剖
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著者:グレゴリー・ヒスチャク/エドワード・ゴーリー公益信託
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監訳者:柴田元幸
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体裁:B4変形/上製本/384頁/オールカラー
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発売日:2025年12月9日
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ISBN:978-4-309-25815-7
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刊行記念特価:税込16,280円(本体14,800円)
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※2026年5月以降は17,600円(税込)で販売されます。
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刊行記念特価での販売は2026年4月末日までです。
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この記念出版には、岸本佐知子氏が「答えのないなぞなぞのような、果てしない迷宮のような、ビックリハウスのようなゴーリーさん世界の魅力を読み解く、最強のガイドブックがやってきた。」と推薦のコメントを寄せており、画家ヒグチユウコ氏も「わたしの『たからものの本』の一冊となりました。」と絶賛しています。
ゴーリーファンの方も、これから彼の作品に触れてみたい方も、この機会にぜひエドワード・ゴーリーの世界を体験してみてはいかがでしょうか。


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