マクニカと国内8大学が連携、バイオセンサ学生コンペ「BioInnoSense」第2回開催
株式会社マクニカは、国内の国立私立8大学の研究室とともに、バイオセンサの学生コンペ「BioInnoSense(バイオイノセンス)」を開催しました。2026年8月28日に行われた最終発表と授賞式において、東北大学チームがテクニカルアワード、徳島大学チームがビジネスアワードをそれぞれ受賞しました。また、スポンサー特別賞として、芝浦工業大学チームがHIOKIアワードを受賞しています。
BioInnoSenseとは
BioInnoSenseは、芝浦工業大学、東京大学、東京科学大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東北大学、徳島大学、豊橋技術科学大学の8大学の研究室とマクニカで構成される実行委員会が主催する学生コンペです。
生体情報をセンシングしてデータ活用するバイオセンサは、次世代の医療や食、生活に関わるイノベーションにつながる分野として注目されています。しかし、バイオ、電子、化学、光学など多分野にわたる学術的知見が求められるため、大学や研究室を超えた連携が重要とされています。このような背景から、マクニカと8大学は世界で戦えるイノベーション人材の育成を目指し、大学を超えた学生コンペとして本イベントを企画しました。
2026年3月の募集開始から、5月には講義が行われ、その後、大学別のチームによる研究開発、中間発表とプログラムが進行しました。学生たちは約3か月という期間で、課題設定からバイオセンサの実機作製、さらにビジネスプランの策定までをこなし、最終プレゼンテーションに臨みました。最終発表は、1日目のデモンストレーション展示とディスカッション、2日目のプレゼンテーションにより審査が行われました。国内を代表するバイオセンサ研究者や、バイオセンサ関連企業、新規事業開発に興味を持つ企業関係者も来場し、活発な議論が交わされました。
各研究室の発表と受賞内容
テクニカルアワード:東北大学チーム「ウシの体調管理センサ まもぉ~るくん」
本賞は、開発したバイオセンサの機能性(測定精度、測定速度、必要なサンプル量)と技術的新規性、およびチームの開発プロセスへの取り組みが評価され、最も優れたチームに授与されるものです。
東北大学チームは、乳牛の健康状態を耳標型デバイスで低侵襲かつ継続的に把握するという着想と、pH、Na⁺、Ca²⁺を測定する電気化学センサを溶解性マイクロニードルと組み合わせた独創性が高く評価されました。実験による動作確認も行われており、無線計測やアプリ表示まで含めた実装の可能性も高く、技術的完成度と今後の発展性が評価され、受賞に至りました。

受賞した東北大学チームは、「テクニカル賞を受賞できて、本当にうれしく思います。開発では、何度試してもうまくいかないこともありましたが、成功したときにはチーム全員で喜び合い、ものづくりの難しさと楽しさを実感しました。今後もチームのつながりを大切にしながら、今回開発したデバイスのさらなる実用化を目指していきたいです」とコメントしています。
ビジネスアワード:徳島大学チーム「Every Oral Station(口腔内環境のセルフケアデバイス)」
本賞は、社会にインパクトを与えられるインスピレーションを持ったビジネスアイデアであるかどうかが審査され、最も優れたチームに授与されるものです。
徳島大学チームは、日々のオーラルケアの成果を可視化するという新しい市場機会に着目した点が高く評価されました。既存の口腔ケア製品やサービスが「予防」や「ケア」そのものを中心としている中で、「セルフケアの成果を見える化する」という価値提案は独自性が高く、個人向け市場において直接的な競合が少ない点も魅力的でした。また、「歯」「歯ぐき」「口腔環境」を評価するためにヘモグロビン、乳酸、アンモニアの3項目に絞り込んだ理由が明確であり、技術的な実現性とユーザーにとっての分かりやすさのバランスが取れていました。本体を無償提供し、消耗品をサブスクリプション形式で販売するビジネスモデルは、継続利用を促しながら収益化を図る仕組みとして説得力があったことが評価され、受賞に至りました。

徳島大学チームは、「私たちが大切にしてきた技術とビジネスのつながりを評価していただき、とてもうれしく思います。今回のコンペを通じて、製品化やお客様に届けることまでイメージして研究することの大切さを学びました。この受賞で終わりにせず、技術とビジネスプランの両面をさらに磨き、研究を続けていきたいです」と喜びを語っています。
スポンサー特別賞HIOKIアワード:芝浦工業大学チーム「現場型土壌診断センサ TSUCHI NAVI」
本賞は、スポンサー企業である日置電機独自の審査により、非常に大きな伸びしろがあると評価されたチームに授与されるものです。
芝浦工業大学チームは、土壌の特性と適正施肥の課題に着目し、食料生産やCO2排出に関わる人類共通の課題をテーマに選びました。プレゼンテーションでは肥料コストの30%削減に焦点を当てていましたが、窒素肥料の製造は原料のアンモニア製造過程において人類の全活動エネルギーの約2%が使われており、膨大なCO2排出が行われています。そのため、適正施肥実現のインパクトは非常に大きく、この点からも土壌測定に向けたバイオセンサ活用の挑戦継続が期待されます。センサの電気信号処理に電気化学インピーダンス分光法(EIS)を用いるなど高度な手法にも挑戦していましたが、実験から得られる測定データ活用は十分とは言えませんでした。HIOKIアワードで贈呈された「LCRメータ IM3536」を活用し、EISをより深く学び、センサからの情報を余すことなく活用した商品とビジネスを再び提案してほしいといった期待が込められ、受賞に至りました。

芝浦工業大学チームは、「受賞を予想していなかったので、特別賞をいただけたことを大変うれしく思います。審査を通じて、対象とする作物や地域を絞ることで、ビジネスの方向性がより明確になり、技術的にも実現しやすくなるという気づきを得ました。受賞した測定機器も今後の研究に活用し、いただいたご意見を形にできるよう、さらに取り組んでいきたいです」とコメントしています。
その他の参加チームの発表
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慶應義塾大学チーム: 「犬の体調変化を見える化できるセンサ」開発による、ペットの健康管理を支援するソリューションを発表しました。
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東京大学チーム: 「食品中のアレルゲンをその場で検知できるバイオセンサ」開発による、食物アレルギーのある人が安心して外食できるソリューションを発表しました。
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東京科学大学チーム: 「筋肉の疲労状態を見える化できるバイオセンサ」開発による、スポーツ選手のコンディション管理を支援するソリューションを発表しました。
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豊橋技術科学大学チーム: 「感染症の種類を迅速に見分けるバイオセンサ」開発による、適切な治療や抗菌薬の使用を支援するソリューションを発表しました。
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早稲田大学チーム: 「クマの存在を検知できるセンサ」開発による、野生動物との遭遇リスクを低減するソリューションを発表しました。
本コンペは来年以降も継続して開催される予定です。マクニカは、今後も産学連携によるテクノロジーの発展、そして世界に通用する人材育成に尽力していくとしています。
関連情報
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