日本のアクティブウェア市場、2035年には417億5,000万米ドル規模へ
株式会社マーケットリサーチセンターは、日本のアクティブウェア市場に関する調査レポート「Japan Activewear Market 2026-2035」を発表しました。このレポートによると、日本のアクティブウェア市場は2025年時点で218億3,000万米ドル規模に達しており、2026年から2035年の予測期間には年平均成長率(CAGR)約6.70%で成長し、2035年には417億5,000万米ドルに達すると見込まれています。

市場成長を牽引する要因
市場の成長を支える主な要因としては、健康志向の高まり、アスレジャーの一般化、都市部を中心としたスポーツ参加の増加が挙げられます。特に、スポーツウェアをジムや競技場だけでなく日常着として着用する消費行動が広がり、市場の対象層が従来のスポーツ愛好家から幅広い一般消費者へと拡大しています。
また、旗艦店やオムニチャネル型小売の拡大、女性向け市場の成長、サステナブル素材の採用、機能性ウェアの技術革新も重要な要因です。消費者はトレーニング時だけでなく、通勤、買い物、旅行、日常の外出などにも着用できる、機能性とファッション性を兼ね備えた衣料を求める傾向にあります。
原材料コストの上昇とサステナビリティへの移行
一方で、2026年初頭には原油価格や物流コストの上昇がアクティブウェア市場に大きなコスト圧力を与えているとされています。アクティブウェアにはポリエステル、ナイロン、スパンデックスなど石油化学由来の素材が多く使用されるため、原油価格上昇は原材料費に直接影響を及ぼします。
この原材料価格上昇は、結果としてサステナブル素材への移行を促す要因にもなっています。再生ポリエステル、バイオベース繊維、海洋プラスチック由来素材、循環型製造といった素材は、環境対応だけでなく、コスト安定化の手段としても注目されています。持続可能性と倫理的調達は、ブランド差別化において重要な要素であり、Mizunoがカンガルー皮革の段階的廃止を発表するなど、多くのブランドがこの動きを進めています。
女性向け市場とオンライン販売の顕著な成長
エンドユーザー別では、女性向け市場が市場全体で最大の収益カテゴリーであり、2025年時点で50%を超えるシェアを占めるとされています。さらに、2026年から2035年のCAGRは7.6%と、主要カテゴリーの中で最も高い成長が見込まれています。
女性向け市場が急拡大している背景には、ヨガ、ピラティス、フィットネスジム、レクリエーションランニングなどに参加する女性が増加していることがあります。現在のスポーツウェアは、サイズの多様性、身体に合ったフィット感、ファッション性、着心地、日常での使いやすさなどが重視されており、ライフスタイルウェアとしての完成度が評価されるようになっています。NikeとSKIMSが共同展開した「NikeSKIMS」ブランドの事例は、女性向けアクティブウェアが戦略的な成長市場とみなされていることを示しています。
流通チャネル別では、オンライン販売が2026年から2035年にCAGR 9.6%で成長すると予測されており、市場全体の成長率を大きく上回る伸びが期待されています。ブランド直販のDTCサイトやECプラットフォーム、限定販売アプリを活用した「ドロップ」型マーケティングが若年層に浸透し、オンライン上でのブランドコミュニティ形成に寄与しています。
一方、オフライン店舗も単なる販売場所ではなく、ブランド体験を提供する拠点として進化しています。東京の銀座、原宿、渋谷などにはNike、Adidas、On、PUMAなどの旗艦店が集中しており、ランニングイベント、商品試着、コミュニティプログラムなどを展開しています。こうした店舗とオンラインを組み合わせるオムニチャネル戦略が、日本市場では特に重要視されています。
地域別の動向と競争環境
地域別では、関東、特に東京圏が日本のアクティブウェア市場を牽引する最大の地域です。東京には旗艦店が集中し、ランニング文化、企業のウェルネスプログラム、ジム利用、ヨガなどの参加率も高いとされています。関西も神戸にASICS、大阪にMizunoが本拠を置くなど、スポーツ文化と産業基盤を持つ重要な市場です。
競争環境では、Nike、Adidas、PUMAなどのグローバル大手と、ASICS、Mizuno、Goldwinなどの日本企業が激しく競争しています。各社は旗艦店出店、DTC・オムニチャネル強化、新素材や独自フォームを用いた高頻度の商品刷新、音楽・ファッションとのコラボレーション、限定商品の投入などを中心とした戦略を展開しています。
今後の市場展望
日本のアクティブウェア市場は、従来の競技用スポーツウェア市場から、健康、日常着、ファッション、ウェルネス、アウトドアを包含する広範なライフスタイル市場へと拡大しています。原材料・物流コストの上昇という課題を抱えながらも、再生素材、バイオベース素材、機能性繊維、軽量化技術などへの投資が進み、市場の高付加価値化が進むとみられます。
今後は、オンラインと実店舗を連携したオムニチャネル戦略、コミュニティ型イベント、スポーツ大会との連携、音楽・ファッションとのコラボレーションなど、販売・マーケティング手法の高度化も重要になると考えられます。日本のアクティブウェア市場は、健康志向とファッション文化を取り込んだ総合的なライフスタイル市場として、2026年から2035年にかけて着実な成長を続けると見込まれています。
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