日本の車載インフォテインメント市場、2035年には26.8億米ドル規模へ拡大予測

テクノロジー

市場規模と成長予測

日本の自動車インフォテインメント市場は、2025年時点で13.9億米ドル規模に達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)6.8%で拡大し、2035年には26.8億米ドルに達すると予測されています。

市場成長の主要因:SDVとコネクテッドモビリティ

市場成長を支える最大の要因は、ソフトウェア定義車両(SDV)への移行とコネクテッドモビリティの拡大です。日本では、車内インフォテインメントが、単なるオーディオやナビゲーション機器から、スマートフォン、クラウド、車両情報、運転支援機能を統合するデジタルコックピットへと進化しています。消費者は車内でも途切れなくナビゲーション、ストリーミング音楽、各種アプリへアクセスすることを求めており、自動車メーカーはモバイルプラットフォームとの互換性や常時接続性を強化しています。

デジタルコックピットへの進化

近年の車両では、ナビゲーション、エンターテインメント、インターネット接続、車両情報、運転支援を一つの画面やシステムへ統合する設計が増加しています。さらに、OTA(Over-The-Air)によるソフトウェア更新、スマートフォン連携、音声認識、クラウドサービスとの接続が標準的な方向となっています。インフォテインメントは、車両販売時に機能が固定される装置ではなく、購入後もソフトウェア更新によって進化するシステムへと変化しています。

2026年3月には、Toyotaが新型RAV4を投入し、Panasonic Automotive Systemsが開発した高度なIVI(In-Vehicle Infotainment)技術を採用しました。このシステムは、ToyotaのAreneソフトウェアと連携し、OTA更新、スマートフォン統合、クラウドベースのナビゲーション、音声認識の高度化などに対応するとされています。これは、SDV化とインフォテインメント統合の代表的な事例の一つです。

技術革新の進展:AI、半導体、EVとの統合

AIの導入

AIの導入はインフォテインメントの機能を大きく変えています。ナビゲーションでは、リアルタイム交通情報や利用履歴などを使って経路を最適化するだけでなく、車両内でAI処理を行うローカルAI型の技術も登場しています。2026年1月には、VisteonとTomTomが、車両内で動作するローカルAIベースのナビゲーションソリューションを発表しました。AIはナビゲーションだけでなく、音声アシスタントやユーザー操作にも利用され、より自然な会話形式での操作が可能になる方向へ進んでいます。

車載半導体プラットフォームの進歩

車載半導体プラットフォームの進歩も重要です。高性能かつ省電力なプロセッサーの普及により、高精細グラフィックス、複数ディスプレイ、AI機能、クラウド通信を一つのプラットフォームで処理しやすくなっています。2024年6月には、Renesas ElectronicsがSDV向けのR-Car Open Access Platformを投入し、自動車メーカーやソフトウェア企業が新機能を迅速に開発・統合できるようにすることが狙いとされています。

EV普及とデジタルコックピット

EVの普及もデジタルコックピットの需要を押し上げています。EVでは、大画面タッチスクリーン、接続機能、音声操作、高度なナビゲーションなどが商品価値の一部になりやすく、インフォテインメントが従来の車両よりも目立つ役割を持っています。特にEVでは、ナビゲーションが充電施設検索や車両情報表示などと結び付くため、車両制御システムとの統合度が高まります。

製品別市場動向

製品別では、オーディオユニット、ディスプレイユニット、ヘッドアップディスプレイ、ナビゲーションユニット、コミュニケーションユニットに分類されます。デジタルコックピットの普及を背景に、いずれのカテゴリーにも成長余地があるとされています。

  • ディスプレイとナビゲーション: 大型タッチスクリーンやリアルタイムマッピングの普及により、技術革新が加速しています。

  • 通信ユニット: クラウド接続や車両間通信などを取り込み、車を常時接続されたデジタル端末へ近づける役割を担います。

  • オーディオユニット: スマートフォン連携、音声操作、クラウド音楽サービスなどを統合し、車内エンターテインメントを高度化する需要が強いとされています。

  • ヘッドアップディスプレイ(HUD): 運転者が前方から視線を大きく外さずに速度やナビゲーション情報を確認できる点が強みです。

装着タイプ別市場動向

装着タイプ別ではOEM装着とアフターマーケットに分類されます。現時点ではOEM装着型が市場を主導しており、新車製造時からデジタルコックピットや接続機能を組み込むケースが増えています。OEM型の強みは、インフォテインメントを車両の他システムと深く統合できる点にあります。一方、アフターマーケットはCAGR7.3%で伸びると予測されており、既存車へデジタル機能を後付けしたい需要が背景にあります。

車種別市場動向

車種別では乗用車と商用車に分類され、乗用車が市場を主導しています。乗用車は2026~2035年にCAGR7.6%で成長すると予測されており、コネクテッドインフォテインメント、スマートナビゲーション、デジタルコックピットへの需要が大きいとされています。商用車でもインフォテインメント需要は拡大しており、ナビゲーション、テレマティクス、リアルタイム通信、フリート管理など業務効率に直結する機能が重要視されています。

地域別市場動向

地域別では関東、関西、中部、その他に分類されます。関東が市場を主導しており、自動車・電子機器メーカーの研究開発拠点が集中していることが背景にあります。なお、関東の予測CAGRについては、レポート冒頭では7.5%、地域分析表では8.9%と記載されており、数値に不整合があるため、正確な成長率についてはレポート内で確認が必要です。中部は自動車製造の集積が大きいため、OEM向けインフォテインメント需要にとって重要な地域とされています。

主要企業の動向と今後の展望

市場競争では、高度なデジタルコックピットの構築が中心テーマとなっています。ナビゲーション、マルチメディア、通信、車両情報表示を別々のシステムとして扱うのではなく、一つのプラットフォームへ統合する方向が明確です。主要企業としては、Panasonic、Mitsubishi Electric、Kenwood、Pioneerなどが挙げられ、各社が先進的な車載インフォテインメント技術の開発を拡大しています。

今後の日本市場では、インフォテインメントとADAS(先進運転支援システム)・車両制御との境界がさらに曖昧になると考えられます。また、音声インターフェースの重要性が高まり、OTA機能の普及によって、車両販売後もナビ、音声認識、UIなどを継続的に改善できる「継続的にサービス価値を追加するソフトウェア基盤」へと変化していくでしょう。

レポート詳細について

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