RFIDスマートハンドヘルド端末の世界市場、2032年には11億ドル規模へ成長予測

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RFIDスマートハンドヘルド端末市場、2032年には11億ドル規模に拡大予測

企業の在庫可視化や現場業務のデジタル化が進む中、RFIDスマートハンドヘルド端末の世界市場が注目されています。LP Informationの最新分析レポートによると、この市場は今後大きく成長し、2032年には11億7,700万米ドルに達する見込みです。

RFIDスマートハンドヘルド端末とは

RFIDスマートハンドヘルド端末とは、RFID(Radio Frequency Identification)の読み取り機能、プロセッサ、独立したOS、表示・操作機能、無線通信、電源管理機能が一体となった業務用携帯端末を指します。これらの端末は、タグの識別からデータ処理、業務操作、結果送信までを単独で実行できるのが特徴です。

一般的にはAndroidなどの組み込みOSとUHF帯RFID機能を搭載しており、バーコードリーダー、カメラ、NFC、4G/5G、Wi-Fi、Bluetooth、測位機能といった多様な機能が統合されています。対象となるのは主に産業用の堅牢なガングリップ型端末であり、スマートフォンに接続するRFIDスレッドや一般的な業務用PDA、外付けの読み取りヘッドは含まれません。

市場成長の背景と牽引要因

市場はすでに初期普及段階を超え、既存用途の高度化と新たな業務への展開が並行する安定成長期に入っています。LP Informationのレポートでは、2026年の約7億4,600万米ドルから2032年には11億7,700万米ドルへと拡大すると予測されており、この期間の年平均成長率は7.9%と見込まれています。この成長は、短期的な特需ではなく、企業のデータ収集基盤更新に支えられた構造的なものと考えられます。

世界RFIDスマートハンドヘルド端末市場の成長予測

市場の成長を牽引しているのは、企業の在庫可視化と現場業務のデジタル化への強い需要です。特に小売業界での需要が大きく、2021年から2026年にかけて、アパレル・履物用途が約41~43%、スーパーマーケットなどの小売用途が約20~21%を占め、これら両用途で市場の6割以上を構成してきました。棚卸し時間の短縮、単品在庫の把握、補充確認、店舗間移動、受注商品のピッキングなど、投資効果を定量化しやすい点が普及を後押ししています。

一方、製造業が約13~14%、電力および図書・文書管理が約10~11%、政府・公共分野が約8%を占めています。端末単体の導入から、固定式リーダーや業務システム、クラウドと組み合わせた運用へと移行することで、需要は資産管理、工程管理、設備点検といった分野にも広がっています。通信性能や処理能力の向上も、より複雑な現場での利用可能性を高めています。

主要企業と競争環境

LP Informationの調査によると、世界のRFIDスマートハンドヘルド端末市場における主要企業は、Zebra、Honeywell、Urovo、Denso Wave、Chainway、Bluebird、Seuic、Unitech、Newland、Keyenceなどが挙げられます。2025年時点では、上位5社で市場全体の約63.0%、上位10社で約69.0%のシェアを占めており、頭部企業群が市場の相当部分を構成しています。しかし、上位5社と上位10社のシェアの差が約6ポイントにとどまることから、競争力は頭部企業に強く集約されつつも、極端な寡占には至っていない多層的な競争構造が見られます。

国際企業は、その販売網、製品管理基盤、大口顧客への対応力において優位性を持っています。一方で、中国系企業は、価格競争力、開発速度、案件ごとのカスタマイズ対応力で存在感を高めています。

RFID市場の競争環境と成長戦略

注目すべき企業動向

競争軸は、単なる読み取り性能だけでなく、通信、演算処理、操作性を含む統合端末へと移行しています。例えば、米国Honeywellは、RAIN RFID、AIプロセッサ、Wi-Fi 7に対応する5G版CT70が2026年iFデザイン賞を受賞したと発表しました。これは、端末の堅牢性とユーザー体験を含む総合的な設計が差別化要因となっていることを示しています。

また、小売現場では複数機能を一台に集約する製品開発が進んでいます。UROVOは、NRF 2026 APACにおいて、RFID、バーコード、Wi-Fi 7、高解像度カメラを統合したDT610を展示しました。これにより、高速棚卸しに加え、商品検索、位置特定、店舗業務を共通端末で処理する方向性を示唆しています。

供給側では、製品群と販売網を補完するための再編も進行中です。2024年11月には、台湾のTSC Auto ID Technologyが、韓国の企業向けモバイル端末メーカーBluebird Inc.の買収を発表しました。これは、印刷・ラベル技術とモバイルデータ収集技術を統合し、製品ロードマップ、技術支援、販売活動の連携を強化する方針によるものです。

今後の展望と日本企業への示唆

今後の市場は、中国を中心とするアジアが、需要規模、端末生産、製品開発の各面で引き続き重要性を維持すると予測されます。用途別では、アパレルと小売が市場の基盤を形成し続ける一方で、製造業、電力、公共サービス、図書・文書管理が第二の成長領域となるでしょう。固定式設備の全面導入が難しい現場では、携帯性と柔軟な運用を兼ね備えた端末への需要が拡大しやすいと考えられます。

競争は、世界規模のサポートとソフトウェア基盤を持つ企業への集中が進む一方、業界特化型や地域密着型の供給企業も残る二層構造へ向かうと見られます。今後は、読み取り距離や一括読み取り速度に加え、誤読制御、複雑な環境での安定性、OSの長期更新、端末管理、業務ソフトウェア連携、保守体制を含む総合的な力が評価基準となるでしょう。

日本企業が新規参入や関連事業を検討する際には、端末販売額だけでなく、対象業界の業務フロー、ソフトウェア連携、保守収益まで含めて事業性を判断することが重要です。協業先や調達先の選定では、UHF帯の性能、Androidの更新方針、通信規格、各国認証、供給継続性、海外サポート網などを比較検討することが求められます。小売向けでは大規模導入実績、製造・インフラ向けでは環境耐性と個別開発能力が主要な評価項目となるでしょう。

レポート詳細

この市場調査に関する詳細なレポートは、以下のリンクから確認できます。

RFIDスマートハンドヘルド端末 報告書の章の要約

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