つがる総合病院とNTTドコモビジネスが地域医療DXを推進:院外からの電子カルテ閲覧で救急医療を強化

テクノロジー

地域医療の現状とDX推進の背景

青森県の西北五地域は、県内6つの二次保健医療圏の中で、住民の入院医療が自身の圏域内で完結する割合(自圏域完結率)が最も低いという課題を抱えています。このような状況の中、つがる総合病院は地域の中核病院として、命に関わる重篤な患者に対し、専門的かつ集中的な治療を短期間で行う高度急性期医療を担っています。

特に救急医療の現場では、夜間や休日を問わず、当直医師に加え、各診療科のオンコール体制(緊急時に備え、自宅などで待機し、要請を受けて対応する勤務体制)による迅速な判断と対応が不可欠です。つがる総合病院は、こうした高度急性期医療の意思決定を迅速化し、医療の質を向上させるため、院内モバイル環境の整備と医療DXの推進を決定しました。

今回の取り組みは、「携帯電話に関する環境構築及びサービス提供に係る公募型プロポーザル」を通じて、NTTドコモビジネスの提案内容と地域DXに関する実績が高く評価され、実現に至りました。

取り組みの概要と主な特長

このたびの取り組みでは、つがる総合病院内にスマートフォンやタブレット端末を導入し、それらを安全かつ効率的に運用するための通信環境と管理基盤を整備しました。これにより、以下の4つの特長が実現されます。

1. 高度急性期医療を支える「いつでも・どこでも」の診療支援環境

オンコール対応の医師が院外にいる場合でも、電子カルテシステムを安全に閲覧できる環境が構築されました。これにより、患者情報をリアルタイムに把握し、当直医や院内の医療スタッフに対して適切な指示を出すことが可能になります。

  • 重症患者に対する初期対応の迅速化

  • 専門医による意思決定の迅速化

  • 夜間・休日における救急対応力の強化

また、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠するため、多要素認証(パスワードに加え、生体認証など複数の要素で本人確認を行う手法)やMDM(モバイルデバイス管理)による厳格なセキュリティ管理が導入されています。さらに、通信経路の暗号化やアクセスログの記録により、安全な医療情報の運用基盤が整備されています。

2. 院内モバイル端末環境の整備による多職種連携の強化

スマートフォンやタブレット端末の導入により、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、理学療法士などのコメディカル(医師・看護師以外の医療専門職の総称)間での連携が強化されます。

  • チャットツールを活用した院内コミュニケーション

  • キャリア回線を用いた音声通話

  • 電子カルテ情報の共有

これにより、迅速かつ正確な情報共有が可能となり、高度急性期医療の現場における時間的なロスを最小限に抑えることができます。

3. 医療従事者の業務効率化と「選ばれる職場」づくり

モバイル端末の活用は、医療従事者の業務負担軽減にも寄与します。電子カルテシステムへのアクセスや院内連絡のデジタル化により、業務の効率化と情報共有の迅速化が実現されます。これにより、医師や看護師をはじめとする医療従事者が、高度な専門性を発揮しながら患者と向き合うことができる職場環境の整備が進められています。

4. 患者への医療サービス品質向上

デジタル基盤の整備は、患者への医療サービス品質向上にも繋がります。特に、高度急性期医療における初期対応の迅速化は、患者の予後改善に貢献します。加えて、院内における待ち時間の短縮や、医療スタッフ間の情報連携強化を通じて、患者にとって安心・安全な療養環境の実現に貢献します。

今後の展望

つがる総合病院は、今回の院内モバイル端末環境の整備を起点として、NTTドコモビジネスとの連携をさらに強化し、西北五地域における高度急性期医療の質的向上に取り組んでいく方針です。

今後は、中核病院としての機能を最大限に発揮するため、医療DXを継続的に推進します。また、圏域内の医療資源を補完する観点から、オンライン診療体制の確立や、慢性期医療・看取り対応への遠隔支援についても段階的に整備し、地域医療全体を支える基盤の構築を進めていきます。

労働人口の減少が続く中でも地域医療を持続可能なものとするため、効率的なコミュニケーション環境の整備を通じて、医療従事者の満足度および定着率の向上も目指します。

つがる総合病院とNTTドコモビジネスは、地域の患者に対する医療サービスの質の向上と、地域医療全体の持続的な発展の実現を推進していくとしています。

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