JALグループ、2027年3月期第1四半期連結業績を発表 – 売上収益は過去最高を更新、多角化戦略で逆風に挑む

ビジネス

連結業績の概要

当第1四半期の売上収益は、航空事業とマイル/金融・コマース事業が共に前年を上回り、5,237億円(前年比+11.2%)となり、第1四半期としては過去最高を記録しました。しかし、急激な燃油市況の高騰と継続する円安基調という厳しい状況により、EBIT(利払い・税引き前利益)は127億円(前年比▲72.1%)、純利益は53億円(前年比▲80.2%)となりました。

これらの逆風に対し、国際旅客などの高い収益力や非航空事業の多角化した収益基盤が寄与し、一定の利益を確保しています。JALグループは、年度目標であるEBIT1,800億円、純利益1,100億円を引き続き目指すとしています。

連結業績

セグメント別実績

フルサービスキャリア事業

フルサービスキャリア事業は、燃油市況高騰の影響を受けながらも、売上収益は前年比+13.8%の4,202億円となりました。しかし、燃油費の増加によりEBITは▲8億円となりました。

  • 国際旅客: 機動的なレベニューマネジメントと燃油サーチャージスキームの改定により単価が大幅に上昇しました。旅客数は前年比▲0.4%と減少したものの、旅客収入は前年比+14.4%の増収となりました。
    国際旅客事業

  • 国内旅客: レベニューマネジメントの徹底とタイムセール適正化により単価が向上しました。旅客数は前年比▲2.7%と減少しましたが、旅客収入は前年比+3.6%の増収となりました。
    国内旅客事業

  • 貨物郵便: 国際線ではアジア=北米間の貨物需要獲得とカーゴルクス航空との連携によるネットワーク拡充が奏功し、前年比+56.4%の大幅増収となりました。国内線でも新規顧客獲得により前年比+6.5%の増収を達成しています。
    国際・国内貨物事業

LCC事業

LCCマーケットの需要増により、売上収益は前年比+6.7%の324億円となりましたが、燃油市況高騰の影響でEBITは▲1億円となりました。

  • ZIPAIR: 高速インターネット「Starlink」の全機搭載完了と柔軟な価格戦略により、前年比+6.5%の増収を達成しました。
    ZIPAIR

  • SPRING JAPAN: 供給減により前年比▲4.8%の減収となりましたが、北京・上海(浦東)線を中心とした需要と需給の引き締まりを捉え、大幅な単価向上を実現しました。
    SPRING JAPAN

マイル/金融・コマース事業

JALカード決済額の増加やグローバル提携強化によるマイル発行収入の好調、マイル償還機会の多様化が寄与し、売上収益は前年比+13.3%の563億円、EBITは前年比+17.6%の120億円と、安定的に利益を伸ばしています。

マイル/金融・コマース事業EBIT

その他

中国および中東における外国航空会社の減便に伴う受託便の減少などにより、売上収益は前年比▲5.5%の566億円でした。一方で、JAL Innovation Fundの為替評価損益の変動などにより、EBITは前年比+96.7%の26億円となりました。

連結財政状態・キャッシュフロー状況

連結財政状態・キャッシュフロー状況

2027年3月期連結業績予想および配当金予想

2026年4月30日に公表された2027年3月期通期の業績予想(連結売上収益2兆950億円、EBIT1,800億円、当期利益1,100億円)および年間配当金予想(1株当たり96円)に変更はありません。

直近の取り組み

JALグループは、各事業領域で多岐にわたる取り組みを進めています。

フルサービスキャリア事業

  • 地方空港への国際線乗り入れ: 2030年までにインバウンド6,000万人という政府目標達成と地域経済活性化のため、地方空港への国際線乗り入れを後押ししています。第一弾として、9月から10月にかけて関西=台北(桃園)線の運航や那覇=台北(桃園)線の通年運航を通じて、地域に新たな経済循環を生み出し、持続可能な観光立国の実現に貢献します。

  • デジタルタッチポイント刷新: 2025年11月から2026年8月にかけて、アプリやWebサイトなど主要な4つのデジタルタッチポイントを刷新しています。これにより、日常から旅の準備、搭乗に至るまで、直感的かつシームレスに利用できるストレスフリーなデジタル体験の提供を目指します。

  • 空港でのヒューマノイドロボット活用実証実験: 2026年5月からGMO AI&ロボティクス商事株式会社と共同で、国内初となる空港でのヒューマノイドロボット活用に向けた実証実験を開始しました。グランドハンドリング領域の人財不足という課題に対し、既存インフラを大幅に改修することなく導入可能な人型ロボットの汎用性を検証し、省人化と作業負荷軽減を通じた持続可能なオペレーション体制の構築を目指します。
    空港でのヒューマノイドロボット活用実証実験

LCC事業

  • ZIPAIR: 2026年5月にはアジアのエアラインとして初めて全機への高速インターネット「Starlink」の導入を完了し、全便・全路線でサービス提供を開始しました。また、2026年6月には成田=ラスベガス間の直行チャーター便を、8月には成田=オーランド間の直行チャーター便を運航するなど、北米市場における新たな需要の取り込みを推進しています。

  • SPRING JAPAN: 2026年4月23日に就航した国内路線の運航頻度を順次増加させ、名古屋(中部)=札幌(新千歳)線は7月18日より2便に増便しました。

マイル/金融・コマース事業

  • ライフネット生命保険株式会社との資本業務提携: 4月30日に資本業務提携契約を締結しました。JALが持つ約4,100万人のJALマイレージバンク会員基盤やマイルなどのアセットと、ライフネット生命が培ってきたオンライン生保としてのプレゼンスやノウハウを融合し、顧客の生活や人生の安全・安心を支える商品・サービスの共創を進めています。

  • JALモバイル powered by ahamo: 株式会社NTTドコモとの協業により提供を開始しました。毎月の継続利用マイルやLife Statusポイントの積算、国内線特典航空券「どこかにマイル」が78%オフで交換できるJALモバイル独自の特典はそのままに、新たな選択肢を追加することで多様化するライフスタイルに寄り添います。
    JALモバイル powered by ahamo

  • 生活インフラサービスとの連携: 2022年2月に開始した「JALでんき」に続き、6月19日からはプレミアウォーター株式会社との協業による「JALウォーター」、7月23日からは東京電力エナジーパートナー株式会社との協業による「JALガス」の提供を開始しました。ウォーターサーバー利用料金やガス料金の支払いに応じてマイルやLife Statusポイントがダブルでたまる仕組みを構築し、主要な生活インフラとJALマイルライフをシームレスにつなぎます。
    JALウォーター・JALガス

  • マリオット・インターナショナルとの戦略的パートナーシップ: 7月14日に戦略的パートナーシップを締結し、「相互のステイタスマッチ」を開始するほか、上位資格へのスピーディな昇格機会を提供します。飛行機の利用から世界10,000軒以上のホテル宿泊に至るまで、ワンランク上の快適な旅体験を提供し、国内外の顧客の旅を豊かに彩ります。
    マリオット・インターナショナルとの提携イメージ

地域活性化

  • つながる、二地域暮らし2026: 7月17日に開始し、昨年度の6地域から全国36地域へと対象を大幅に拡大しました。航空便の利用に応じたマイル付与による移動費支援や滞在先での交流機会を提供します。JALグループの新会社「KANTSUNA」が運営事務局を担い、グループ一丸となって二地域居住の社会普及やウェルビーイング向上に取り組んでいます。

  • 東日本旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社との二地域居住プログラム: 航空と鉄道が連携し、交通事業者の枠組みを超えた先導的な事業として始動しました。それぞれの地域における地域の担い手不足の解消や定住・関係人口の創出を目指します。
    JRとの二地域居住プログラム

  • JALオーベルジュ富良野: 株式会社日動と連携し、その土地ならではの食と滞在体験を通じてウェルビーイング向上に繋がる取り組みとして、7月22日に販売を開始しました。富良野の豊かな自然に囲まれた隠れ家で、全客室にキッチンを備えた上質な安らぎの空間と、一流シェフがプロデュースする本格フレンチとワインのペアリングを提供します。
    JALオーベルジュ富良野 外観
    JALオーベルジュ富良野 料理

新規事業

  • JAL Innovation Fund II: 自社運営のCVCファンド「JAL Innovation Fund II」を軸としたスタートアップとの多様な事業連携や、自社従業員の起業・新規事業創出を支援する制度の整備などが評価され、経団連主催の「第4回スタートアップフレンドリースコアリング」において、運輸業界の過去最高となる総合7位に選出されました。今後もオープンイノベーションを力強く牽引し、革新的なサービスや技術開発を推進します。

  • ispaceとの月面着陸ミッション契約: 株式会社ispaceが2028年に予定する月面着陸ミッションにおけるペイロード輸送サービス契約を締結し、5月27日より企業・自治体向けに輸送枠の販売を開始しました。月面に地球の文化を継承する「ARGO PROJECT」を始動し、専用ボックス「Möbius Ark」の開発や搭載品の募集・販売を担うことで、宇宙輸送がより身近になる社会の実現を目指します。
    ispaceとの月面着陸ミッション

  • 株式会社Aero Breath設立: 三菱重工業株式会社と株式会社JALエンジニアリングの合弁会社「株式会社Aero Breath」を6月1日に設立しました。愛知県の県営名古屋空港を拠点として2026年度中のリージョナル機整備事業開始を目指し、安全・安心な運航の堅持と、航空旅客需要の回復に伴い高まる航空機整備のニーズに貢献します。
    株式会社Aero Breath ロゴ

サステナビリティ

全日本空輸株式会社とともに、SAF(持続可能な航空燃料)の現状と課題、社会全体での取り組みの必要性をまとめた共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて(第2版)」を策定しました。両社でSAFの量産と活用について幅広く発信し、政府ならびに関係者と連携してSAFの普及に取り組み、持続可能な航空輸送の実現を通じて日本経済の持続的な成長への貢献を目指します。

その他

JAL SKY MUSEUMの展示コンテンツバージョンアップ: 新たな顧客体験の創出や最新テクノロジーの社会実装を目指し、JAL SKY MUSEUMの展示コンテンツをバージョンアップしました。AI技術を応用した高精度な「仮想試着システム」の期間限定導入により、運航乗務員や客室乗務員の制服に加え、歴代制服や整備士の制服も試着体験できるようになりました。また、大阪・関西万博で13万人を動員した空飛ぶクルマの擬似搭乗シアター「そらクルーズ」をコンパクトサイズに最適化して常設化し、未来の空の旅を多角的に楽しめるエンターテインメント環境を整備しました。

JAL SKY MUSEUM 仮想試着システム
JAL SKY MUSEUM そらクルーズ

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