Opensignalが訪日旅行者のモバイルSIM利用実態を分析:現地SIMがローミングを上回る体験を提供
Opensignalは、日本を訪れるインバウンド旅行者のモバイルSIMカード利用に関する詳細な分析レポート「ローミングを超えて:日本のオペレーターがインバウンド旅行者を獲得する方法」を発表しました。このレポートでは、訪日旅行者が利用する「自国オペレーターのローミング」「旅行用eSIM」「日本国内の現地SIM」という3つの接続手段を比較し、それぞれのエクスペリエンス品質や利用傾向について深く掘り下げています。
主な分析結果
現地SIMは、ローミングより優れた体験を提供
今回の分析により、日本で現地SIMに切り替えたユーザーのネットワーク品質指数(NQI)は94.7%に達し、旅行用eSIMユーザーの87.6%、ローミング利用者の73.6%を大きく上回ることが判明しました。

NQIとは、海外でインターネットに接続した際に、Googleマップ、旅行アプリ、SNS投稿といった日常的なアプリを快適に利用できる接続環境がどれほど得られるかを示す指標です。単なる通信速度だけでなく、旅行中の実際の使いやすさを反映しているため、現地SIMの優位性が明確に示されています。
滞在期間が長くなるほど、現地SIMへの切り替えが増加
旅行者の滞在期間によって、選択される接続手段に違いが見られました。短期旅行ではローミングをそのまま利用する傾向が強く、3日から7日の滞在ではローミング利用率が67%に達しています。しかし、滞在期間が2週間を超えるとローミング利用率は53%まで低下し、現地SIMへの切り替えが増加します。特に、2週間を超える滞在では21%、4週間を超える滞在では42%の旅行者が現地SIMを利用していることが分かりました。
出身市場によって接続手段の選択は異なる
旅行者の出身国によっても、接続手段の選択に傾向が見られます。アジア太平洋地域や米国からの訪問者はローミング利用率が高く、米国からの訪問者では約80%が自国オペレーターを使い続けています。

一方で、英国、カナダ、オーストラリアからの訪問者はローミング利用率が比較的低く、現地SIMや旅行用eSIMを選ぶ傾向が強いとされています。これは、ローミング料金の高さや、代替手段への認知度の違いが影響していると考えられます。
ソフトバンクが現地SIM切り替え市場をリード
日本で現地SIMに切り替えた旅行者のうち、ソフトバンクは34%を占め、国内市場シェアを上回る存在感を示しました。次いで、IIJが26%となっています。
出身地別に見ると、韓国や香港からの訪問者にはソフトバンクが特に人気を集めています。フィリピンからの旅行者ではNTTドコモが最大シェアを占め、auはタイからの訪問者でトップとなり、米国やオーストラリアからの旅行者にも高い支持を得ています。
日本のオペレーターにとっての機会
ローミングは手軽な接続手段ですが、通信トラフィックがユーザーの母国ネットワークを経由するため、遅延の増加やエクスペリエンス品質の低下につながる可能性があります。特に、日本から距離の離れた国・地域からの訪問者ほど、この品質低下が大きくなる傾向が見られます。しかし、多くの旅行者はこの仕組みや、現地SIMとの品質差を十分に認識していません。
多くの場合、ローミングは積極的に選ばれているというより、初期設定のまま利用されているのが現状です。この認知のギャップこそ、日本の通信事業者にとっての成長機会であるとOpensignalは指摘しています。日本の観光ブームが拡大を続ける中で、その恩恵が国内オペレーターの収益に十分に還元されているとはまだ言えません。現地SIMの価格、使いやすさ、そして優れた体験品質を分かりやすく伝えることができれば、インバウンド市場は通信事業者にとって新たな成長領域となるでしょう。
参考資料
Opensignalについて
Opensignalは、消費者のネットワーク・エクスペリエンスと意思決定に関する独立した知見を提供するグローバル・プロバイダーです。モバイルおよびブロードバンド・ネットワークに関する独自のインサイトを活用し、通信事業者が利益を改善し、業界で競争力を維持するためのソリューションを提供しています。その分析方法は独自のもので、高い透明性を担保し、すべての通信事業者がネットワーク接続を継続的に改善できるよう支援しています。Opensignalは米国、カナダ、英国に本社を擁し、南米とアジアに営業拠点を展開しています。


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