鳥取砂丘コナン空港:空港が「観光目的地」に変化
鳥取県の東の玄関口である「鳥取砂丘コナン空港」は、鳥取市、鳥取砂丘、白兎海岸、北栄町の青山剛昌ふるさと館などへのアクセス拠点として機能しています。
2015年に「鳥取砂丘コナン空港」の愛称が使用開始され、空港内には『名探偵コナン』の世界観を表現した装飾やフォトスポット、謎解きラリーが展開されました。特に2018年7月の空港ビル一体化グランドオープンでは、コナン装飾が大幅に拡充。喫茶ポアロの再現展示、キャラクターオブジェ、シンボルオブジェなどが整備され、空港自体が楽しめる施設へと進化を遂げました。

このリニューアルの効果は、来場者数に明確に表れています。リニューアル前の2017年度に43,909人だった一般来場者数は、グランドオープン後の2018年度には379,021人へと急増し、前年度比で約8.6倍もの増加を記録しました。

その後も来場者数は着実に回復・成長を続け、2019年度には403,950人を記録。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた期間を経て、2025年度には491,359人に達する見込みです。また、国内線乗降客数と一般来場者数がほぼ同規模に近づいていることも特筆すべき点です。これは、飛行機を利用する人だけでなく、空港を目的地として訪れる人々が大幅に増加していることを示しています。
鳥取砂丘コナン空港は、「飛行機に乗るための場所」から「訪れること自体が旅の楽しみになる場所」へと転換したと言えるでしょう。キャラクターの世界観を単なる装飾にとどめず、館内回遊、写真撮影、謎解き、そして周辺観光地への誘導と結びつけることで、空港の集客力を高め、地域周遊を促すモデルを確立しています。
空港内には、パイロット姿の江戸川コナンと客室乗務員姿の毛利蘭の像が訪れる人々を歓迎しています。

また、喫茶ポアロを再現した展示や、怪盗キッドのフィギュアも設置されており、ファンにはたまらないスポットとなっています。


さらに、キャラクターたちがスイカやカニと共にビーチにいる様子を描いた3Dトリックアートも楽しめます。

米子鬼太郎空港:インバウンド誘客の起点に
一方、鳥取県西部・山陰エリアの玄関口である「米子鬼太郎空港」は、境港市の水木しげるロード、皆生温泉、大山、米子市内など、広域周遊の起点となっています。

2010年に境港市出身の漫画家・水木しげる氏の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』にちなんで「米子鬼太郎空港」と命名されました。空港名や館内装飾によって作品の世界観を印象づけ、到着時から山陰観光への期待感を高めています。
米子鬼太郎空港は、国内線に加え、東アジア方面への国際線も有する山陰の国際ゲートウェイとしての役割も担っています。この国際線の強化が、インバウンド観光に大きく寄与しています。
株式会社ナビタイムジャパンが訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」の利用状況をもとに発表した分析によると、2025年夏の訪日外国人旅行者の滞在数増加率ランキングにおいて、鳥取県境港市が全国1位、米子市が全国2位となりました。境港市は2024年夏と比較して2.83倍、米子市は2.72倍に増加しています。

境港市での滞在エリアを見ると、水木しげるロード周辺での滞在が多く確認されています。水木しげるロードは、境港駅から水木しげる記念館まで続く約800mの妖怪の道で、妖怪ブロンズ像や夜間のライトアップにより、国内外の旅行者が『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観を体験できる観光スポットです。

この背景には、台湾や香港など海外での『ゲゲゲの鬼太郎』の知名度に加え、米子鬼太郎空港の国際線強化が挙げられます。韓国(週5便)への直行便に加え、2025年5月29日には台湾からの新規直行便が就航し、米子鬼太郎空港発着の国際航空路線の搭乗者数は過去最多を記録しています。
米子鬼太郎空港は、キャラクターを冠した空港がインバウンド誘客にも貢献し得ることを示す好事例です。空港を起点に、水木しげるロード、境港、大山、皆生温泉など鳥取県西部の広域周遊を生み出しています。
空港内には、旅行かばんの上に座った目玉おやじの像が訪問者を歓迎しています。

また、鬼太郎風のキャラクターと大山の景色が描かれた歓迎ディスプレイや、色鮮やかなステンドグラス、天井画など、作品の世界観を存分に楽しめる装飾が施されています。



キャラクターを活かした地域誘客の可能性
鳥取県の2つの空港に共通しているのは、キャラクターを単なる名称や装飾にとどめず、地域の観光資源や周遊導線と密接に結びつけてきた点です。
鳥取砂丘コナン空港では、空港で『名探偵コナン』の世界観を楽しんだ後、鳥取砂丘や北栄町の青山剛昌ふるさと館へ足を延ばす流れが生まれています。米子鬼太郎空港では、空港名そのものが『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観と結びつき、境港市の水木しげるロードをはじめとした鳥取県西部の観光スポットへの期待感を高めています。
これらの事例は、作品やキャラクターの世界観を空港全体で発信することが、空港そのものの魅力向上だけでなく、地域全体への周遊、観光消費、交流人口の拡大につながる可能性を示唆しています。
鳥取県は、今後も両空港の個性を活かし、空港を起点とした地域周遊の促進、国内外からの観光誘客、地域のにぎわい創出に取り組んでいく方針です。
参考情報
- 株式会社ナビタイムジャパンの「訪日外国人旅行者が訪れる夏の人気上昇エリアを分析 2025」の発表情報:
https://corporate.navitime.co.jp/topics/pr/202510/09_5935.html


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