SIGQがAgentic AI「Incident Lake」で総額1.23億円の資金調達を完了
インシデントマネジメントに特化したAgentic AI「Incident Lake」を開発する株式会社SIGQは、プレシリーズAラウンド・ファーストクローズにおいて、総額1億2,300万円の資金調達を完了したことを発表しました。この資金調達は、エクイティファイナンスとデットファイナンスの組み合わせによって実現しました。

資金調達の詳細と出資者
今回の資金調達の内訳は、J-KISS型新株予約権の発行によるエクイティが9,300万円、そして代表者無担保・無保証(協会保証付)による長期借入のデットが3,000万円です。デットファイナンスは、日本政策金融公庫および常陽銀行からの融資により実現しました。
投資家としては、ベンチャーキャピタルからみずほキャピタル株式会社とSMBCベンチャーキャピタル株式会社が参加しています。さらに、国内のSaaS/AIスタートアップ企業の成長を牽引してきた9名の個人投資家も参画しました。これには、株式会社プレイドの倉橋 健太氏、柴山 直樹氏、桑野 祐一郎氏、株式会社マネーフォワード元執行役員の黒田 直樹氏、株式会社PKSHA Technology元執行役員の下村 勇介氏などが含まれており、「Incident Lake」の事業モデルと経営体制に対する高い信頼が示されています。
インシデントマネジメントの課題と「Incident Lake」の役割
SaaSやクラウドサービスが社会インフラとして不可欠になる中で、システム障害などのインシデントへの迅速な対応は、企業の事業継続と信頼性を維持するために非常に重要です。しかし、インシデントに関する情報は断片化しやすく、対応手順が複雑であるため、現場のエンジニアやマネージャーには大きな負担がかかっています。
「Incident Lake」は、このような課題を解決するために開発された、インシデントマネジメントに特化したAgentic AIです。GoogleのGemini、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaudeといった最先端のLLM(大規模言語モデル)を核として活用し、組織内に蓄積された「暗黙知」や「意思決定プロセス」を構造化されたデータとして集約します。これにより、インシデント発生時の意思決定を劇的に加速させる「インシデント・インテリジェンスレイヤー」としての機能を提供します。
「Incident Lake」の主な特徴
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LLMの進化を即座にプロダクト価値へ: 特定のLLMモデルに依存しないアーキテクチャを採用しているため、基盤となるLLMの推論能力が向上するたびに、解析精度や意思決定のスピードが自動的に向上する設計となっています。
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組織の「暗黙知」を構造化データへ転換: 日々のインシデント対応ログや、これまでベテランエンジニアの経験に頼っていた判断基準(暗黙知)を収集し、LLMが理解・活用できる形で構造化します。これにより、組織固有の貴重なデータ資産として蓄積されます。
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使えば使うほど加速する「意思決定の独自性」: データが蓄積されるにつれて、LLMは「その組織にとっての最適な解決策」をより深く学習します。これにより、汎用的なAIではなく、自社の過去の教訓や意思決定プロセスを反映した、唯一無二の高度な意思決定支援基盤へと進化し続けることが期待されます。
資金調達の目的と今後の展開
今回の調達資金は、主に「Incident Lake」のGo-to-Market(GTM)戦略を本格的に始動させるために充当されます。エンタープライズ領域での再現性ある事業展開を目指し、以下の3つの分野で組織的な成長を加速させる計画です。
- エンタープライズ組織の立ち上げ: 金融、製造、通信・インフラ、大規模SaaSなど、高度な信頼性と説明責任が求められる企業への導入を支援するため、セールスおよびカスタマーサクセス(CS)チームを新設します。
- マーケティング投資の拡大: 展示会出展やデジタルマーケティングを通じて、インシデント対応における意思決定の高度化という観点から、次世代の運用スタイルであるAIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)の認知度向上と理解を市場に広めます。
- パートナーシップによる「運用のラストワンマイル」の資産化: システムインテグレーター(SIer)やクラウドベンダーとの協業を強化し、複雑化するエンタープライズ運用環境における「Incident Lake」の基盤化を推進します。既存のプラットフォームでは捉えきれなかった現場の意思決定や暗黙知といった「運用のラストワンマイル」を構造化データとして捕捉し、LLMの進化と組み合わせることで、組織独自の意思決定資産を流通・蓄積させる新たな運用エコシステムの構築を目指します。
「Incident Lake」は、単なるデータの処理に留まらず、Slackでの対話、既存のチケット管理ツール(ServiceNow、Atlassian Jiraなど)の情報、現場の判断といった「生きたデータ」を取り込み、LLMが即座に活用できる形で蓄積します。データが蓄積されるほど、LLMは「その組織特有のルールや過去の教訓」を深く理解し、回答や支援の精度が自己進化し続ける仕組みが構築されています。
既存のチケット管理ツールを置き換えるのではなく、それらと併用することでその真価を発揮します。既存ツールに記録される「結果」だけでなく、その過程にある「判断の理由」や「試行錯誤」というラストワンマイルのデータを「Incident Lake」が吸い上げて構造化し、意思決定のハブとしてマネージャーへ情報を提供することで、迅速かつ妥当性のある判断を支えます。
投資家からのコメント
今回の資金調達にあたり、各投資家から期待の声が寄せられています。
みずほキャピタル株式会社 投資第1部 シニアインベストメントマネージャー 細田 大輔 氏

社会のデジタル化が進む中で、企業のインシデント対応は増加傾向にあり、対応のスピード、効率化、高度化が強く求められています。細田氏は、SIGQのプロダクトが、金築代表の豊富な現場経験に基づく知見から、金融機関を含む多様なステークホルダーを抱える企業に必要な機能を提供できると確信しているとコメントしています。
SMBCベンチャーキャピタル株式会社 投資営業第四部 次長 馬籠 勇人 氏

馬籠氏は、SIGQがインシデント対応に忙殺されるマネージャーの業務オペレーションを効率化し、高度な意思決定をサポートするAIネイティブなプロダクトを提供していると評価しています。この領域における金築代表の圧倒的な知識と経験が、金融機関をはじめとしたエンタープライズクライアントの課題解決に貢献し続けると信じているとのことです。
個人投資家(株式会社マネーフォワード 元執行役員 黒田 直樹 氏)

黒田氏は、金築代表の「圧倒的な行動力」を学生時代から見てきたと述べ、インシデント対応の難易度の高さから熟練エンジニアに委ねられてきた現状に対し、「Incident Lake」が熟練エンジニアの代替役や最良のサポート役になろうとしていることに期待を寄せています。AIネイティブなプロダクト設計とチームづくりがSaaS業界に大きなインパクトをもたらすとコメントしています。
個人投資家(株式会社PKSHA Technology 元執行役員 下村 勇介 氏)

下村氏は、インシデント対応が組織にとって不可欠な「組織ペイン」であると指摘しつつも、対応の暗黙知を「ナレッジ資産」として蓄積し、最適な説明ストーリーを作ることが顧客の信頼獲得につながると述べています。金築代表がインシデント対応の卓越した専門家であり、「Incident Lake」がこの社会課題を解決してくれると確信しているとコメントしています。
個人投資家(株式会社SIGQ 社外アドバイザー 宮原 忍 氏)

宮原氏は、SaaSやクラウドが社会インフラ化する一方で、インシデント対応がいまだ個人の経験や属人的判断に依存している現状を課題として挙げています。「Incident Lake」が、顧客ごとに最適化されたAIエージェントによって情報を集約・構造化し、現場の判断や対応プロセスを「意思決定資産」として残すアプローチを評価。ドメイン知識と実装力が同社の競争力を形づくっていると確信し、投資家としてもコミットすべき挑戦だと判断したと述べています。
株式会社SIGQ 代表取締役 金築 敬晃氏のコメント

代表取締役の金築 敬晃氏は、システムの重要性が増す中で、インシデント発生時に運用マネージャーが最も負荷がかかり、重要な判断を迫られる現状に言及しています。「Incident Lake」は、多忙なマネージャーがAIエージェントを右腕として活用することで、情報収集や分析の工数を最小化し、迅速かつ的確な判断を下せる環境を提供すると述べています。マネージャーが本来の仕事に集中し、高付加価値な人材の時間と生産性を最大化することが、企業の生産性向上、ひいては企業価値の向上につながると確信しているとのことです。今回の資金調達を通じてGo-to-Market体制を強力に推進し、多くの企業の経営基盤を運用の側面から支えていくとコメントしています。
関連情報
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Incident Lakeプロダクト紹介サイト: <https://incidentlake.com>
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Incident Lake導入・業務提携に関するお問い合せ先: <https://incidentlake.com/contact>
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株式会社SIGQ 会社情報: <https://company.sigq.io>


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