ユニファイジャパン、シンガポール2V SYSTEMSと戦略的提携を締結 – 日本の半導体復権へ、RISC-VベースのエッジAI事業を本格展開

テクノロジー

提携の背景と目的

世界的にAI技術とデータセンターの需要が急増する中で、特定のベンダーに依存しないオープンな技術基盤の確立が求められています。特に、機密性の高いデータを扱う医療分野や高度な制御技術を要する製造業では、クラウドを介さずに端末側で高速処理を行う「エッジAI(HIA)」の重要性が高まっています。日本は伝統的に組み込み技術や制御系に強みを持っており、エッジAI分野で再び世界のリーダーシップを握る潜在力があると認識されています。

ユニファイジャパンは、計画中のデータセンター建設を起点に次世代のAIソリューションを展開する構想を進めています。この構想を実現するため、RISC-V分野で最先端を走る2V SYSTEMSと提携し、同社の高性能かつコスト効率の高い半導体技術を日本市場向けにカスタマイズして提供する体制を構築しました。この提携は、データ主権の確保やサプライチェーンの強靭化といった日本の産業課題の解決に貢献すると期待されています。

提携の主なポイント

  • エッジAIソリューションの提供: 2V SYSTEMSから、日本市場向けにカスタマイズされたエッジAIチップ、ボード、ゲートウェイソリューション(ハードウェアおよびソフトウェアを含む)が提供されます。

  • 戦略アドバイザーの就任: 2V SYSTEMSおよび同社が指定する専門家であるDr. Chio Fai Aglaia Kong氏とMr. Fai Yeung氏が戦略アドバイザーに就任し、専門知識に基づく支援を行います。

  • 研究開発とGo-To-Market支援: 2V SYSTEMSがRISC-V AIアクセラレータ分野のグローバルリーダーとして成功するための研究開発、製造、および市場展開活動を支援すべく、コンソーシアムを通じて同社への投資が実施されます。

2V SYSTEMSについて

2V SYSTEMSはシンガポールを拠点とするファブレス半導体企業で、データセンターやクラウドインフラ、エッジAI向けの高性能かつコスト効率の高いRISC-VベースSoC(System on Chip)の開発に注力しています。チップ設計から独自のソフトウェアスタック、システムソリューションまでを一貫して開発し、TSMCなどのウェハーファブやASEなどのOSAT企業と提携して製造を行っています。同社の技術チームは、Intel、AMD、Googleなどの大手テクノロジー企業で20年以上のASIC(特定用途向け集積回路)開発経験を持つ専門家で構成されています。

RISC-Vとは

RISC-Vは、RISC-V Internationalが推進するオープン標準の命令セットアーキテクチャ(ISA)です。柔軟な拡張性を持ち、特定の企業に依存しないため、多様なAIワークロードに最適化されたカスタムチップの開発を可能にし、世界中でエコシステムが急速に拡大しています。RISC-V Internationalの公式サイトはこちらです: https://riscv.org/

日本で目指す方向性

ユニファイジャパンは、今回の提携を単なる海外半導体製品の導入にとどめず、日本国内での実装・運用・共同開発までを視野に入れた産業基盤づくりとして位置づけています。特に、医療、製造、研究開発、インフラ、産業オートメーションといった、機密性・リアルタイム性・安定稼働が重要な領域において、エッジAIおよびオンプレミスAIの普及を後押ししていく考えです。

今後は、2V SYSTEMSのRISC-Vベース技術を日本市場向けに最適化し、国内パートナーと連携しながら、AIハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション、運用支援までを一体で提供する事業モデルの構築を目指します。これにより、日本企業が自社データと現場知見を活かしながら、より主体的にAI活用を進められる環境の整備を進めていくとのことです。

3段階の事業ロードマップと日本での展開

ユニファイジャパンは、2V SYSTEMSの技術を活用し、2028年をマイルストーンとする以下の3段階のロードマップを推進します。

展開ロードマップ

  • 第1段階:エッジAI基盤の展開

    • 提供製品:Edge AIチップ、AIドングル、小型AI PC、産業用AIモジュール、AIゲートウェイ、開発ボード

    • 特徴:JEA81チップを中核とし、最大4 TOPSのNPUを搭載。-40°C〜+85°Cの広温度範囲に対応し、10年以上の長期供給を保証します。既存設備にAI性能を後付けする「プラグ&プレイ」対応のドングルなど、日本の産業オートメーションやスマート製造(外観検査、設備予知保全等)に最適化したフルスタック機能を提供します。

  • 第2段階:エンタープライズAIの実装

    • 提供領域:ソブリンAI in a Box、オンプレミスAIサーバー、企業内データ活用 AI、R&D向けAI、製造業向けAI、医療・材料研究向けAI

    • 特徴:データ主権(秘匿性)を重視する企業や研究機関に対し、セキュアなオンプレミス環境で稼働するエンタープライズ向けAIソリューションを提供します。

  • 第3段階:クラウド・データセンター向け展開

    • 提供製品:高性能RISC-V CPU(AI推論用)、AI推論用クラウドチップ、チップレットベースCPU、AIアクセラレータ統合チップ、サーバー向けCPU、データセンター向けAIチップ

    • 特徴:エッジからクラウドまでをシームレスに連携する、次世代AIデータセンター向けのT大規模演算ソリューションを展開します。

RISC-VベースAI半導体と実装イメージの図解

AIハードウェア・ソフトウェア コンソーシアムの組成構想

このプロジェクトを社会実装するためには、ハードウェアの安定供給、ソフトウェア・アプリケーションの開発、そしてシステム構築(SI)までを網羅する強力なエコシステムが不可欠です。ユニファイジャパンは、大手商社、半導体関連企業、ソフトウェア特化型パートナー、SIer等と連携し、AI基盤の設計からサービス実装までを包括的にサポートする「国内連合体(コンソーシアム)」の形成を志向しています。現在、複数の有力企業との協議を開始しており、パートナー企業の参画を広く呼びかけていく方針です。

日本の半導体産業復権に向けた展望

日本の半導体産業は、かつて世界市場を牽引してきましたが、近年の国際競争の中でシェアを縮小させてきました。しかし、エッジコンピューティングや制御技術の分野においては、現在も世界トップクラスの知見と現場力を有しています。

ユニファイジャパンは、2V SYSTEMSの先進的なRISC-V半導体技術と日本の強みである産業技術を融合させることで、まずは「エッジAI(HIA)」という特定分野において圧倒的な優位性を確立するとしています。この取り組みを足がかりに、次世代AI分野における技術的遅れを挽回し、日本の半導体産業およびAI産業全体の復権、ひいては新たなグローバルリーダーシップの獲得を目指すとのことです。

SHD Group公開の「RISC-V Market Analysis 2024 Abridged Report」によると、日本のRISC-V市場(RISC-V CPUコアを搭載したSoCの売上高ベース)は、2023年推計で8.16億米ドル、2026年予測で37億米ドル、2030年には116億米ドルに達する見通しとされています。2023年から2030年までの年平均成長率(CAGR)は47.4%とされており、日本はRISC-V関連市場の有望な成長地域の一つとして位置づけられています。特に2026年時点でも市場拡大が明確に見込まれていることから、RISC-Vが将来テーマにとどまらず、すでに具体的な成長局面に入っている技術領域であることが示されています。同レポートでは、日本の市場シェアが2023年の7.1%から2030年に18%へ拡大すると予測されています。

このレポートの対象範囲には産業機器、自動車、ネットワーキング、コンピューティング、コンシューマー、その他用途が含まれており、RISC-Vの採用拡大が日本の製造業、研究開発、インフラ、エッジAI導入の広がりと連動して進む可能性が示唆されています。今回の提携は、こうした市場成長の潮流を見据え、日本国内での実装力と事業基盤の強化を図る取り組みとして推進されていきます。

会社概要

株式会社ユニファイジャパン

  • 代表者:寺田常徳

  • 所在地:神奈川県川崎市

  • 事業内容:SDGsに基づく研究・事業発信プラットフォーム「UNIPLAT」の運用、オンリーワン商品の開発、研究者・企業の権利管理および商用化支援等。

  • 公式サイト:https://unify21.co.jp/

2V SYSTEMS GLOBAL PTE. LTD.

  • 所在地:シンガポール

  • 事業内容:データセンター、クラウドインフラ、エッジAI向けの高性能RISC-VベースSoCの設計および開発

  • 公式サイト:https://www.2vsystems.com/

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