「消滅可能性自治体」からの挑戦が学術研究に 岩手県西和賀町の地域ブランド「ユキノチカラ」が地方創生モデルとして論文化

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研究論文の概要

公開された論文のタイトルは「地域ブランドを活用した“消滅可能性自治体”の活性化 ― 岩手県西和賀町「ユキノチカラ」―」です。人口減少と豪雪という二つの大きな課題を抱える地方自治体において、地域ブランドがどのように地域内外の評価を循環させ、持続的な地域づくりに繋がるかを示す事例として紹介されています。

地域ブランドを核とした地方創生モデルとしての評価

論文では、「ユキノチカラ」の取り組みが、単なる商品開発やPR活動にとどまらず、外部からの評価が地域内部へと還流することで、町民の意識変化や新たな事業参画を促した循環型の地域ブランド事例として分析されています。さらに、地域ブランド、デザイン、産業振興、ふるさと納税といった要素が横断的に連動している点が、地域全体を巻き込む統合的な地方創生モデルとして位置づけられています。

西和賀町と民間協働による10年の歩み

「ユキノチカラ」プロジェクトは、平成27年(2015年)に地域活性化を目的としてスタートしました。西和賀町、地域事業者、デザイナー、金融機関など、多様な主体が連携して推進されてきました。雪という地域固有の課題を価値ある資源へと転換するブランドコンセプトのもと、以下の活動を展開し、町内外をつなぐ地域戦略として発展しています。

  • 地域資源を活かした商品開発

  • 都市部での情報発信・販路開拓

  • ふるさと納税との連動

  • 関係人口の創出

西和賀町とユキノチカラの記念ロゴ

プロジェクト10周年の節目と今後の展開

この論文発表は、地域ブランド「ユキノチカラ」が商品づくりから地域戦略へと発展してきた10年間の歩みを示すものです。プロジェクトは、デザインによる商品の魅力向上と地域一体となった広報・販促活動から始まり、令和4年度(2022年度)には岩手県立西和賀高校と連携した地域学習プログラム「魅力発見ラボ」を開始しました。さらに、令和5年度(2023年度)からは、西和賀町、西和賀産業公社、ユキノチカラプロジェクト協議会が連携した「地域商社事業」にも取り組んでいます。

西和賀高校とユキノチカラのコラボレーションプロジェクト「魅力発見ラボ」の集合写真

西和賀町とユキノチカラプロジェクト協議会は、今後も地域資源の価値化と持続可能な地域づくりを目指し、地域事業者や町民、地元高校など、多様な方々と協働しながら挑戦を続けていくことでしょう。

ユキノチカラブランドの商品群

岩手県西和賀町の青唐辛子と北海道鹿部町の小雪たらこのコラボ商品「青唐辛子明太子」

西和賀町の魅力

東北地方の地図上に西和賀町の位置が示され、ゆるキャラが描かれている

岩手県西和賀町は、岩手県南西部の秋田県境に位置し、奥羽山脈に囲まれた自然豊かな中山間地域です。人口約4,500人、面積約590㎢のうち8割以上を森林が占める全国有数の豪雪地帯であり、雪とともに暮らす雪国文化が今も息づいています。

基幹産業である農業では、ブランド山菜「西わらび」をはじめ、乳製品で知られるYUDAミルクなど、地域の風土を活かした特産品づくりが行われています。また、観光も町の重要な産業の一つで、特色ある温泉地が点在しています。春はカタクリをはじめとした山野草、夏は錦秋湖を中心としたカヌーやSUPなどのレジャー、秋は紅葉、冬はウインタースポーツや雪あかりなど、四季折々の自然を楽しむことができます。

静かで美しい湖の風景

森林の地面いっぱいに咲き誇るカタクリの花

雪灯籠に囲まれて座る子供

さらに、町内には演劇専用ホール「銀河ホール」があり、町民主体の舞台活動や若者による表現活動が続くなど、自然と文化が共存する地域として歩みを重ねています。

ユキノチカラプロジェクトについて

雪が舞い降る冬の風景を背景にした「ユキノチカラ」ロゴ

「ユキノチカラプロジェクト」は、2015年に西和賀町で始まった地域デザインプロジェクトです。「雪を力に変える」をコンセプトに地域ブランド「ユキノチカラ」を創設し、地域資源の価値化や商品開発、デザイン活用、情報発信などを通じて、地域産業の持続的な発展を目指してきました。創設時は、西和賀町、日本デザイン振興会、北上信用金庫、信金中央金庫など、地域内外の機関が連携し、町内事業者と県内デザイナーによる商品づくりからスタートしました。2019年度には参加事業者による「ユキノチカラプロジェクト協議会」を設立し、活動体制を発展させています。

現在は、産業振興やふるさと納税、関係人口創出、シティプロモーションなどを横断的に結びつけた統合的な地域づくりを進めています。

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