日本のアーティストを世界へ繋ぐAI音楽ピッチプラットフォーム「OTONAMI」が正式ローンチ

エンタメ

音楽配信時代の構造的課題:音楽を「作る」と「届ける」の非対称性

ストリーミングが音楽産業の中心となった現在、楽曲を世界へ配信すること自体は誰でも容易になりました。しかし、その音楽を「適切なリスナーに届ける手段」は依然として限られています。特に日本の独立系アーティストは、以下の3つの構造的な壁に直面しています。

  • 言語の壁: 英語でのピッチ作成やコミュニケーションの難しさ。

  • 人脈の壁: 海外メディアやキュレーターとの人脈の不在。

  • 徒労の壁: 無償サブミット型サービスの返信率の低さ。

これらの課題により、日本のアーティストの音楽が自国市場の外に届く機会はごく一部に限られていました。

OTONAMI 課題

政府方針との接続:コンテンツ海外展開を音楽分野で実装

2025年12月には、内閣総理大臣が日本のアーティストの海外展開支援を強化する意向を示し、コンテンツ産業の海外売上を2033年までに20兆円に拡大する目標が経済産業省の5カ年アクションプランで掲げられています。この目標は、コンテンツ産業が日本成長戦略における17の戦略分野の一つとして位置付けられていることを示しています。

OTONAMIは、このような政府のコンテンツ海外展開の方針に対し、音楽分野における具体的な海外送出ルートを民間から補完するプロダクトとして注目されています。アニメ、マンガ、ゲームと並び、日本のインディー音楽が国境を越えて評価される土壌づくりに、技術と人的ネットワークの両面から貢献することを目指しています。

首相官邸の関連情報はこちらです。

OTONAMIが提供する3つの価値

OTONAMIは、日本のインディーアーティストを世界の聴衆に届けるために、以下の3つの価値を提供します。

OTONAMI 3つの価値

  1. AIマッチング
    アーティストが楽曲URL(Spotify、SoundCloud、YouTubeなど)を入力すると、AIが楽曲のジャンル、音響特徴、ムード、テンポを分析します。その分析結果に基づき、世界中のキュレーターの中から最適な相手を適合度スコアで推薦します。

  2. AI英訳ピッチ
    日本語で書かれた楽曲紹介文を、AIが自然な英語のピッチ文に変換します。これにより、英語でのコミュニケーションに不安があるアーティストでも、海外のキュレーターに専門的なピッチを送ることが可能になります。

  3. キュレーターへの正当な対価(有償フィードバック)
    従来の無償サブミット型サービスでは、返信率の低さやテンプレート的なフィードバックが課題でした。OTONAMIではキュレーターに対しフィードバックの対価を支払うことで、誠実で実用的な返信が保証されます。アーティストは7日以内にフィードバックを受け取ることができます。

既存サービスとの違い

OTONAMIは、いわゆる「再生数水増しボット」や「インフルエンサーへの楽曲提供」とは根本的に異なります。実在する音楽メディア運営者、プレイリスト編集者、ラジオDJからの、人間によるフィードバックと掲載機会を提供することに焦点を当てています。

OTONAMI 既存サービスとの違い

OTONAMIは、日本の独立系アーティストに特化し、日本音楽に関心のある実在の海外キュレーターとつなぐことで、7日以内の有償かつ誠実な評価、AIによる日本語ピッチの自動英訳、そしてキュレーターとの長期的な繋がりを提供します。

ローンチ参加キュレーター(主要)

  • Monica Tong / Music Press Asia(シンガポール) — Founding Curator #1

  • Darryl Sterdan / Tinnitist(カナダ) — Founding Curator #2

  • Witold Rosiak / PYAAR Agency(ポーランド) — Founding Curator

その他、世界各国から20名以上のキュレーターが参加しています。

創業者コメント

TYCompany合同会社代表の山下智氏は、自身の経験からOTONAMIの必要性を強く感じていました。山下氏は、「自身がROUTE14bandのドラマーとしてSXSWに通算10回出演しても、海外に楽曲を届ける手段は人脈と運に依存していました。キュレーターに無償でメールを送り続けるのではなく、誠実なフィードバックに正当な対価が払われる仕組みを作りたかった」と語っています。

また、「政府が日本のコンテンツ産業の海外展開を国家戦略として後押しする流れの中で、音楽分野はアニメやマンガと比較してまだ海外送出のインフラが整っていません。OTONAMIは、この音楽分野のギャップを民間として埋めるプロダクトです。言語の壁が、音楽が人に届く障害であってはいけない。海外のキュレーターから『日本のインディー音楽をもっと知りたい』という声を何度も聞いてきました。その声に応える仕組みを、技術と人的ネットワークの両方で実装しました」と、OTONAMIが目指す未来について述べています。

OTONAMIは、日本のインディー音楽が世界で評価されるための新たな架け橋となることが期待されます。

コメント